半導体超格子へのフォノン・フィルタ-作用に関する定量的研究
Project/Area Number |
01550001
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Applied materials
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田村 信一郎 北海道大学, 工学部, 助教授 (80109488)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 1989: ¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
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Keywords | フォノン / 半導体 / 超格子 / フィルタ-作用 / 層構造 / 透過率 / 音響的性質 |
Research Abstract |
本研究は、半導体人工超格子の示すフォノン・フィルタ-作用に関する定量的な解明を目的としたものである。最近、非周期的な層状構造をもつ超格子における音響的性質に特に興味がもたれており、ここではそのような超格子系の代表である。Thue-Morse超格子と、完全に不規則な超格子におけるフォノンの透過スペクトルの計算を行なった。詳細な解析的、及び数値的な計算の結果以下の点を明らかにした。 (1)Thue-Morse超格子においては、陰れた周期生によるフォノン反射の他に、この系に特有な反射が前者の1/3と2/3の周波数に対して生じる。二層構造をとる超格子系では、しかしながら前者の反射が支配的であり、フォン・フィルタ-作用は周期系と大差がない。一方、単層構造からなる超格子系では後者が支配的となり新たな様相を示す。フォノン透過率の角度依存性も調べ、異なるモ-ド間の結合によるフィルタ-作用の存在とその定量化をGaAs/AlAs超格子系で行なった。 (2)不規則超格子においては、超格子の構造因子と、フオノンの反射強度のアンサンブル平均を同時に計算した。その結果、反射スペクトルの周波数依存性に規則的な構造が依然として存在していることが判明した。二層構造、単層構造超格子では、するどい透過率の落ち込みが存在し、フォノン・フィルタ-作用の存在が示唆される。特に単層構造超格子においては、層の数を増すにつれ、共鳴条件をみたす周波数を持つフォノン以外は全て超格子を透過できなくなるという、極めて著しいフィルタ-効果の存在が明らかになった。今後は、層構造の並びに相関が存在する不規則超格子に対し、系統的にフォノン・フィルタ-作用の定量化を行ない、実効的なフォノン・フィルタ-を見い出す計画である。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)