摩擦低減剤としての新しいモリブデン化合物の開発とその作用機構の解明
Project/Area Number |
01550109
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
機械要素
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡部 平八郎 東京工業大学, 工学部・化学工学科, 教授 (00016403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 一郎 東京工業大学, 工学部・化学工学科, 助手 (00183111)
益子 正文 東京工業大学, 理工学国際交流センター, 助教授 (60111663)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1989: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | ジアルキルジチオリン酸モリブデン / 摩擦低減作用 / X線電子分光分析 / 酸化防止性能 |
Research Abstract |
ジアルキルジチオリン酸モリブデン(MoDTP)の摩擦低減作用に及ぼす諸因子をX線電子分光分析による摩擦表面分析で検討した。MoDTPの摩擦低減作用は摩擦表面に生成されるMoS_2によるところが大きいと考えられるが、その摩擦表面上にMoS_2が生成しても、Moが容易に母体金属内部に拡散してしまう窒素雰囲気中では摩擦低減作用を示さなくなること、窒素雰囲気中でも金属表面にあらかじめ酸化被膜が存在すれば、Moの金属内部への拡散が妨げられ、摩擦低減作用が現われることがわかった。 また、共存する添加剤の影響及び表面反応被膜の効果を検討した。MoDTPの摩擦低減作用は、共存する添加剤と表面との反応で生成する被膜の性質に大きく依存すること、即ち、りん酸被膜はMo化合物の金属内部への拡散を妨げ摩擦低減作用を示すのに対し、硫化被膜の場合は格子欠陥が多いためMo化合物が生成しても金属内部に容易に拡散するためMoDTPの摩擦低減作用が現れないことが明らかとなった。ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)の場合は、その分解時に生成する硫黄化合物により生成する硫化被膜が大きな影響を与えた。以上から、酸化被膜の存在及び共存する添加剤により生成する表面被膜の性状がMoDTPの摩擦低減作用の大きな支配因子の一つであることが明かになった。 更に、MoDTPの酸化防止性能を、酸化実験、過酸化物分解測定及びラジカル補足能測定から評価した。鉱油の酸化においてMoDTPは酸化防止能を有することが明らかになった。MoDTPの過酸化物分解能及びラジカル補足能はZnDTP、ジブチルメチルフェノ-ル(DBMP)と同等かそれ以上の性能を有する。しかし過酸化物を分解するときにMoDTP自身が顕著な分解を起こし消費されてしまうため、ラジカル捕捉能が有効に発揮できず、総合的には他の二つの酸化防止剤よりもその能力が劣ってしまうことが明かとなった。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)