固体潤滑剤からのトライボ刺激エキソ電子及びイオン放出の研究
Project/Area Number |
01550117
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
機械要素
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大前 伸夫 大阪大学, 工学部, 助教授 (60029345)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | トライボロジ- / エキソ電子 / 固体潤滑剤 / トライボエミッション |
Research Abstract |
グラファイトとSUS304ピンとのトライボロジ-特性を10^<-5>Paの真空中で調べ、フラファイトからのトライボ刺激エキソ電子放射の検出に成功するとともに、大きい摩擦を示す接触箇所とエキソ電子放射量が増大する場所とが極めてよい一致を示すことを明らかにした。エキソ電子の放射電流量あ10^<-14>Aと測定され、この値は光や熱などの刺激を行わないダ-クエミッションとしては比較的大きい。本研究のトライボ刺激エキソ電子の検出は国内外を問わず最初の実験的成果であり、トライボロジ-に大きな新知見を与えることは確実であると考えられる。超高電圧透過電子顕微鏡を用いてグラファイトの摩擦面を観察したところ、{001}面を表面に露出したサブミクロン幅のファイバラス構造が存在することが判った。グラファイトの再結晶温度は1800°C〜3000℃と非常に高いので、摩擦による熱エネルギ-で再結晶が生じる可能性は極めて低い。{001}面が表面と平行に配列する原因はむしろ安定な摩擦を示すようにグラファイトが選択的にはく離したためであろうと考えられる。また、グラファイトからのエキソ電子放出の主たる機構は、ファイバラス構造形成の際のエキソサ-ミックエミッションか、あるいは転位の運動による発熱のいずれかであろうと推察された。また、チャネルトロンを使用してトライボ刺激イオン放出も検出されたが、これらのイオンがH_2O^+、CO^+あるいはCO_2^+が主成分となっていることが四重極質量分析器を利用して固定することができた。グラファイトとならぶ代表的な固体潤滑剤である二硫化モリブデンについてはグラファイトほど顕著でないものの微弱なエキソ電子放射が検出され、固体潤滑剤の劣化、破損、はく離の検出に本研究のようなトライボ刺激のみのエキソ電子を用いる手法は工学的のみならず工業的にも有望であると期待される。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)