Project/Area Number |
01550673
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Synthetic chemistry
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
北條 卓 神戸大学, 工学部, 教授 (60031043)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 4ーチオニアピリジニウムイオン / 6員環6π系芳香族ジカチオン / ヘテロ芳香族ジカチオン |
Research Abstract |
本研究代表者は6員環6π系芳香族ジカチオンである4ーチオニアピリジニウムイオン(Y=Ar,X=O^-)を初めて合成し、さらにこれを塩として単離することにも成功した。本研究では1のいくつかの誘導体、特にXやYが含硫黄置換基である場合について、を合成し、この興味ある新規芳香族イオンの安定性におよぼす諸因子を検討し、その構造特性を明らかにすることにした。 1.X=O^-でYがOEtのもつは前駆体から先に本研究者が開発した方法により容易に合成できたが、得られたジカチオンでは陽電荷が=O^+Etのようにかなり酸素原子上に集まり、可視吸収スペクトルでも361nmが最長波長の吸収となり、芳香族性は少ないと判断された。これに対し、X=O^-でYがSEtのものは445nmに吸光係数14,000もの大きな可視部吸収を示し、プロトン核磁気共鳴吸収からも安定な芳香族ジカチオンであると判定された。 2.X=S^-でYがSEtのものを合成し、X=O^-、Y=SEtのものとの比較を行なった。両者とも安定なBF_4^-塩として単離された。前者は分解点が125ー135°の暗緑色の結晶で、後者は分解点110ー120°の黄色結晶で、前者の方がかなり安定である。可視吸収スペクトルについても前者での498nmに対し後者での最長吸収波長は451nmである。^<13>C核磁気共鳴吸収スペクトルでも前者の方が後者よりも芳香族環により多くの陽電荷が集まり、芳香族性の高いことを示している。 以上のことから、予測したように、この新しい6員環π系素芳香族ジカチオンがジカチオン性が高いほど芳香族性が増し、熱的にも、また大気中での放置実験においても、より安定であるという非常に興味ある特性が明らかとなった。今後この塩の結晶構造について調べる予定である。
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