Research Abstract |
1.人参不定胚の長期乾燥貯蔵:アブサイシン酸(ABA)で処理した不定胚を含むカルス塊を約6時間でシリカゲルにより乾燥させ、27℃に貯蔵した。22ケ月間の貯蔵の場合、ABA無処理区、10^<-6>M、10^<-5>M、および10^<-4>M処理区において、それぞれ20%,17%,57%および50%の不定胚を含むカルス塊から多数の植物体が再生した。30ケ月間の貯蔵の場合、10^<-6>M、10^<-5>M、および10^<-4>MのABA処理区ではそれぞれ0%,23%および48%の不定胚を含むカルス塊から多数の植物体の再生を確認した。人参不定胚では、ABAの10^<-5>Mあるいは10^<-4>M処理が長期乾燥貯蔵に効果があると推察される。 2.人参不定胚の各発育ステ-ジの乾燥抵抗性:発育ステ-ジを球状胚、心臓型胚、魚雷型胚に分けて、それぞれの乾燥抵抗性と貯蔵性を調べる計画であったが、未検討である。 3.乾燥時の温度条件の影響:人参不定胚を27℃、15℃および5℃で乾燥させ、生存率と貯蔵性を検討している。デ-タはまだ十分得られていないが、実験は継続している。 4.人参以外の不定胚の乾燥後の生存率の検討:セロリとアスパラガスの不定胚の乾燥後の生存率を人参と同様に調べている。アスパラガスは雄と雌の不定胚に分けて検討している。 5.乾燥不定胚を利用した人工種子開発の技術体系の確立:不定胚はABA処理により、商業ベ-スでの長期乾燥貯蔵が可能と考えられる。かかる観点に立ち、人参乾燥不定胚をエチレンオキサイドで減菌した市販のゼラチンカプセルに包埋して人工種子を作製し、生存率と貯蔵性について、現在検討中である。
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