ニホンナシの自家不和合性の発現に関する生理学的研究
Project/Area Number |
01560033
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
園芸・造園学
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中西 テツ 神戸大学, 農学部, 助教授 (80031227)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 花粉 / 花粉発芽 / 花粉管伸長 / 自家不和合性 / ニホンナシ |
Research Abstract |
本研究ではニホンナシの自家不和合性の発現について、受粉後花粉管が花柱組織内で伸長を抑制される過程を知るために、花粉の発芽後の花粉管形成過程及び花柱組織内での伸長過程の細胞学的研究を行った。材料として人工発芽させた花粉及び自家、他家受粉した花柱を用い、透過型電子顕微鏡で細胞の微細構造を観察した。また、花粉管中の核の挙動を観察するため、DAPI染色を行い、落射蛍光顕微鏡で観察した。 (1)発芽初期における花粉壁及び花粉粒内部の微細構造 花粉壁は好オスミウム性で約2μmの外壁と電子密度の低い2〜3μmの内壁から成っていた。外壁は中層に棍棒状のバキュラが存在し、3層構造であった。内壁は一層で、電子密度の異なる微細な顆粒構造が認められ、細胞膜は滑らかであった。細胞内には生殖細胞を含み、花粉細胞質は栄養核、ミトコンドリア及びサイズと電子密度の異なる多数の顆粒が存在した。花粉の吸水が起きると細胞内の顆粒は融合して大型化し、フリ-のリボゾ-ムが多数出現した。発芽が開始すると、内壁部分が突出し細胞膜との間にキャップ構造を形成した。キャップ内部は電子密度の低い物質が充満し、リボゾ-ムが認められた。細胞質ではリボ-ム及び複数の膜構造を含む顆粒が増加し、液胞の形成が見られた。 (2)花粉管の微細構造及び花柱における伸長過程 花粉の発芽直後には花粉壁は内層の突出した構造を示したが、次第に2層の花粉管壁を形成した。内壁は0.2μm程度で、電子密度が極めて低くほぼ均一な層であった。外壁も厚さは0.2μm内外であったが微細な繊維構造を含んでいた。細胞膜は起伏があり波状を呈した。細胞質には細胞小器官としてER、ミトコンドリア、プラスチッド、ゴルジ体及びリボゾ-ムが存在した。細胞顆粒は大型の液胞と電子密度の低い小顆粒が多数存在した。花粉管は花柱誘導組織の細胞間隙に侵入し、花粉管壁は細胞間隙の分泌物質と接していた。花粉管の壁及び花粉管内の微細構造は自家及び他家受粉で差異は見られなかった。本研究では花柱内部での花粉管先端のキャップ構造が検出されず、花粉管の伸長及び停止部位での両者の差異についてはさらに検討進める必要があった。 (3)花粉管内における栄養核及び生殖細胞の微細構造 栄養核はクロマチンが散在し、不定形で生殖細胞を取り巻くようにして存在した。生殖細胞は中心に大型で球状の核を含み凝縮したクロマチンが認められ、細胞質は電子密度が低く多数の顆粒を含んでいた。花粉は発芽後12時間後には花粉管長が2mmまで伸長し、栄養核と生殖細胞は花粉管内に移動した。生殖細胞は36時間後に30%、48時間後に60%が分裂した。花粉管中では生殖細胞が先行する場合がやや多い傾向であったが、生殖細胞の分裂時の花粉管中での位置は一定でなかった。分裂後の生殖細胞中の2精細胞の形態的差異は見られなかった。
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Report
(1 results)
Research Products
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