Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
小型げっ歯類は,脳心筋炎(EMC)ウイルスによる幼豚の致死性心筋炎のキャリア-として重要視されていると同時に,ウイルス性糖尿病のモデルとしての可能性が期待されている。今年度は,昨年度に続き,先ずげっ歯類のEMCウイルスに対する感受性を検討し,標的臓器でのEMCウイルスの動態を調べた。次いで,マウスで糖尿病性腎症の早期作出を試み,併せて,スナネズミとハムスタ-の膵β細胞で継代したEMCウイルスを用いてこれらの動物に糖尿病の誘発を試みた。得られた成果は下記の通りである。 1.マウス,ハムスタ-,スナネズミはEMCウイルスに感受性を示し,マウスでは脳,心,膵(内・外分泌腺)で,ハムスタ-とスナネズミでは脳,心,膵(外分泌腺)で,ウイルスの増殖と病変の形成がみられ,ウイスル抗原の分布と電顕所見も明らかにした。一方,ラットはEMCウイルスに感受性を示さなかった。 2.DBAマウスとEMCウイルスD株を組み合わせることにより,2〜3ヶ月という短い期間で糖尿病性の腎糸球体病変を作出できた。 3.スナネズミとハムスタ-の膵β細胞は,in vivoではEMCウイルスに感受性を示さないが,in vitroでは感受性を示した。 4.膵β細胞(in vitro)で5代継代したEMCウイルスを接種したスナネズミとハムスタ-では,軽度の膵β細胞障害(in vivo)と有意な耐糖能の低下が観察された。このことは,マウス以外のげっ歯類でも,それぞれの動物種の膵β細胞でEMCウイルスを継代し,それを接種することによって糖尿病を惹起できる可能性を示唆するものである。
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