Project/Area Number |
01570079
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Neurophysiology and muscle physiology
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Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
森 憲作 大阪バイオサイエンス研究所, 第3研究部, 副部長 (60008563)
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Project Period (FY) |
1989 – 1990
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1990: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | 匂い受容体 / 嗅細胞 / 嗅球 / 脂肪酸 / 嗅神経 / 卵母細胞 / アミノ酸 / プロスタグランジン / 膜電流 |
Research Abstract |
フナの嗅粘膜より抽出したmRNAをゼノパス卵母細胞に発現させ、各種アミノ酸およびプロスタグラジンF_2αで刺激をおこなうと、非常にゆっくりとした時間経過の内向きの膜電流が誘起された。この内向きの電流はCl^ーイオンによるものであり、恐らくIP_3を介したものだと推定された。しかしながら、匂い分子によってmRNA注入卵に誘起される膜電流は最大のものでも数十nAしかなくcDNAのクロ-ニングには不十分であった。これは、匂い受容分子の多くがcAMP系を介した細胞内情報伝達系とカップルしており、IP_3系を介しているものはその一部にすぎないためだと考えられる。上記の結果より、本年度は嗅細胞の軸索から直接入力を受けている嗅球のニュ-ロンの匂い応答様式を調べることにより、嗅細胞の匂い受容機構を調べることにした。ウレタン麻酔したウサギの嗅球の個々のニュ-ロンからスパイクを記録し、各種の脂肪酸の匂いで嗅粘膜中の嗅細胞を刺激した。その結果(1)脂肪酸の匂いに応答するニュ-ロンは嗅球の前背側部の内側に集中していた。(2)個々のニュ-ロンは脂肪酸のうち特定の範囲の「長さ」もしくは「大きさ」の側鎖をもつものに選択的に応答した。上記の結果は、(1)脂肪酸の匂いに対する受容分子を発現している嗅細胞は、その軸索を嗅球の前背側部の内側へと選択的に投射していること、および(2)個々の嗅細胞は、各種の脂肪酸の匂い分子を、その側鎖の構造により識別し、嗅球のニュ-ロンに伝達していること等を示唆している。これらの実験結果は、匂い分子の構造と、嗅覚系の細胞の応答選択性および空間配置との間に明確な対応関係があることを示した最初のもので、嗅覚神経系における匂いの分子識別機構解明への重要な第1ステップが得られたと考えられる。
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