Project/Area Number |
01570266
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Immunology
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
稲葉 カヨ 京都大学, 理学部, 助手 (00115792)
|
Project Period (FY) |
1989
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
|
Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
|
Keywords | 樹状細胞 / 胸腺 / T細胞分化 / 自己免疫寛容 |
Research Abstract |
胸腺内でのT細胞の分化は自己MHC抗原に対する親和性を持った抗原レセプタ-を発現するT細胞の選別(positive selection)と、それに続いて起こるその細胞集団からの自己抗原特異的なT細胞の除去(negative selection)という2つの過程によって完了されると推測されている。そして、前半の過程は胸腺上皮細胞によることが明らかにされてきている。しかし、後半の過程は放射線感受性の骨髄由来細胞おそらく樹状細胞によると予想されてはいるもののこれまでに解答はえられていない。樹状細胞は自己抗原を提示できるのか。胸腺内で抗原を提示した場合、T細胞のnegative selectionを誘導するのか。末梢リンパ器官樹状細胞と機能的差異はあるのか。これらの解明を目的として研究を行なった。 大量の異種可溶性蛋白抗原を投与すると、胸腺樹状細胞表面にその抗原が発現されていることは、抗原特異的T細胞クロ-ンの増殖応答が誘導されることから確かめられた。また、B細胞特異的抗原とされるMls抗原も樹状細胞によって提示され得ることが示された。これらの結果は、胸腺樹状細胞が抗原をT細胞に対して提示できる状況にあることを示唆するものである。一方、Mls抗原陽性のマウスでは特定のVβ鎖を発現するT細胞が除去されていくことが知られている。そこで、Mls陽性マウスの胸腺樹状細胞あるいは脾樹状細胞を、Mls陰性新生仔マウス胸腺に注入して胸腺と末梢血、リンパ節のT細胞においてVβの発現を調べたが、対照群に比較して有意な変動は認められなかった。ところが、その個体の胸腺ならびに末梢T細胞の応答性は大きく低下していた。これらの結果は、樹状細胞はT細胞の分化過程において、negative selectionに働いているのではなく、T細胞機能の不活化を誘導していることを示している。なお、実際に応答性T細胞の除去に作用しているのは胸腺内B細胞であることも明らかになった。
|