Project/Area Number |
01570803
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Cerebral neurosurgery
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
久保田 紀彦 福井医科大学, 医学部, 助教授 (70092781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兜 正則 福井医科大学, 医学部, 助手 (80169599)
半田 裕二 福井医科大学, 医学部, 助手 (10173105)
河野 寛一 福井医科大学, 医学部, 講師 (90126574)
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Project Period (FY) |
1989 – 1990
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1990: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | くも膜下出血 / 線維形成 / 線維溶解物質 / クモ膜下出血 |
Research Abstract |
本研究の現在までの成果を要約し、以下に記載する。 (1)前回の報告で述べたとおり、Wisterラットを使用し、くも膜下腔(大槽内)に0.1ー0.2mlの自家血を注入し、くも膜下出血モデルを作成した。7日ー14日後にくも膜下腔内に線維溶解物質を注入し、くも膜下血によって形成されたコラ-ゲン線維の溶解状態を光顕・電顕により観察した。線維溶解物質としてoxidized glutathione(酸化型グルタチオン)と5.5'ーDithioー2ーnitrobenzoicacid(ニトロ安息香酸)を使用した。 (2)生理食塩水に2mMの酸化型グルタチオンを混合した液と、1mMのニトロ安息香酸を混合した液を作り、30分から3時間の間、くも膜下腔を小動物潅流用ポンプを使用して潅流した。その後、2.5%グルタ-ル・アルデヒドあるいはPLP液で潅流固定し、光顕、走査電顕、透過電顕で、脳底部のくも膜下腔の病変部を中心に検索した。 (3)光顕では、好銀線維染色、研疫組織染色(コラ-ゲンI型、コラ-ゲンIV型、ラミニン)で線維溶解状態を観察した。潅流液を30分以上流すと、線維の溶解が始まり、3時間でコラ-ゲン線維はほぼ溶解した。コラ-ゲンIV型、ラミニンは、コラ-ゲンI型よりも早期に溶解する傾向を示した。 (4)走査電顕では、光顕所見とほぼ同様な所見が見られ、細い線維が早期に溶解する傾向をしめした。透過電顕でも同様に線維の溶解が観察された。線維の近傍のくも膜細胞や脳組織は、ほぼ正常の状態に保たれ、溶解現象は僅かしか見られなかった。 以上の結果より、くも膜下出血の後、くも膜下腔に出現した線維は、ニトロ安息香酸や酸化型グルタチオンにより、正常組織を溶解させず、線維のみを溶解させることが可能である。このことを利用すれば、臨床的に、くも膜下出血後の脳脊髄液の潅流障害により発生する水頭症を予防することが可能であるとおもわれる。
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