聴覚の時間分解能の実測・モデル化に基づくディジタル補聴器の基礎的検討
Project/Area Number |
01570947
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Otorhinolaryngology
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今泉 敏 東京大学, 医学部(病), 助教授 (80122018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細井 裕司 近畿大学, 医学部, 講師 (80094613)
原田 勇彦 東京大学, 医学部(病), 講師 (30010440)
新美 成二 東京大学, 医学部(病), 教授 (00010273)
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Project Period (FY) |
1989 – 1990
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | ディジタル補聴器 / 時間分解能 / 感音性聴覚障害 / 語音知覚 / Temporal window / 音素境界 / 有声開始時刻 / ディジタル信号処理 |
Research Abstract |
1.目的 各種聴力障害者の音声知覚障害を最適に補綴し得る高機能のディジタル信号処理型補聴器を開発するための基礎的研究を行った。本年度は最適な信号処理方式を設計するために必要な、聴覚系の時間分解能と音声の知覚能力との関係を実験的に調べた。 2.方法・結果(1)作業仮説「一部の感音性聴覚障害者では聴覚系の時間分解能が低下する」を検討するため、帯域雑音に対する継時マスキング実験によって聴覚系の時間分析能を測定した。その結果、健聴者の時間分解能は測定音圧に応じて変化し、80dBSPLで8〜15ms、60dBSPLで12〜38ms、40dBSPLで22〜110ms程度であった。これに対して、感音性聴覚障害者では、最適聴取レベル約60〜80付近に分布した。一部の感音性聴覚障害者では時間分解能が低下した状態で語音を聴取せざるを得ない状態にあることを確認した。 (2)作業仮説「時間分解能の低下は言語音知覚に有意な影響を及ぼす」を検討するため、持続時間の異なる母音に対する識別能と、種々の間隔の2連母音に対する識別能、破裂子音の有声開始時刻(VOT)に対するDL・音素境界を調べた。その結果、健聴者ではVOTの音素境界がVOTのDL最小値付近にあり、このことが有声・無声弁別を安定なものにしていること、難聴者では時間分解能の低下に相関する方向でこの関係が崩れること、難聴者に於ける時間分解能の低下は孤立母音・連続母音の知覚を低下させることなどが示された。 3.結論 一部の感音性聴覚障害者では聴覚系の時間分解能が低下すること、その低下は言語音知覚に有意な影響を及ぼすことが確認できた。今後は以上の結果を踏まえてディジタル信号処理型補聴器のための最適な信号処理方式を設計する方法を検討していきたい。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)