ラウス肉腫ウイルスsrc遺伝子産物のキナ-ゼ活性調節機構
Project/Area Number |
01580191
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
代謝生物化学
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
深見 泰夫 神戸大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (00156746)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | がん遺伝子産物 / チロシンキナ-ゼ / 合成ペプチド / 蛋白質リン酸化 |
Research Abstract |
ラウス肉腫ウイルスのがん遺伝子(src)の産物“p60^<v-src>"は、蛋白質のチロシン残基をリン酸化する酵素(チロシンキナ-ゼ)の活性を持っており、活性を担っているC末端側約半分のキナ-ゼドメインとN末端側約半分の非触媒領域とからなっている。本研究では、p60^<v-src>のキナ-ゼ活性の調節における非触媒領域の働きを明らかにするため、合成ペプチドを用いた実験を中心に解析を行った。p60^<v-src>の非触媒領域中には、srcファミリ-がん遺伝子産物全体によく保存された構造があり、その一部は、ケラチンやビメンチン等の中間径線維蛋白質と高い類似性を持っている。今回使用した合成ペプチドは、この中間径線維蛋白質との類似部位に相当している。解析の結果、(1)類似部位のp60^<v-src>側の配列を持つ合成ペプチドの1つ(ペプチドA:21アミノ酸)が、p60^<v-src>のキナ-ゼ活性をμMオ-ダ-で特異的に阻害すること、(2)その阻害作用は、基質蛋白質及びATPのいずれにも競合しないものであること、(3)ペプチドA内にペプチドA以上の阻害活性を持った部分ペプチドが見い出されること、(4)ペプチドAのC末端側約半分に当たるペプチドが、ペプチドAの阻害作用に拮抗すること、(5)ペプチドAはp60^<v-src>のキナ-ゼドメインに作用すること、(6)p60^<v-src>の自己リン酸化部位周辺のアミノ酸配列に相当する合成ペプチドによって、ペプチドAによる阻害が回復すること、等が明らかとなった。これらの知見は、src遺伝子産物の非触媒領域内の中間径線維蛋白質類似構造の部分が、分子内あるいは分子間で、自己リン酸化部位周辺を含むキナ-ゼドメインに作用して、そのキナ-ゼ活性を調節し得ることを示しており、ウイルスのsrc遺伝子が由来した正常細胞中のsrc遺伝子産物"p60^<v-src>"では、活性化されたp60^<v-src>と異なり、非触媒領域によって活性が抑制されているためにがん化能を持たないのではないかと考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)