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¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
重要な化学原料であるエチレン,プロピレン,ブデン類などのオレフィンは,常に水素,窒素,ならびに種々の飽和炭化水素との混合ガスとして供給される。従って,混合ガスからオレフィン類を分離する方法の開発は重要である。本研究では,混合ガスから少ない消費エネルギ-でエチレン,プロピレン,ブテン類の各々を選択的に分離するための分類剤の開発を追究した。その結果,銅(I)イオンの周囲の化学環境を制御することにより,エチレンとプロピレンの混合ガスからエチレンのみを選択的に吸収する液状ならびに固体の分離剤を開発することに成功した。 二級あるいは三級の窒素原子のみより構成されるジアミン,トリアミン,テトラミンと塩化銅(I)との均一メタノ-ル溶液は,25℃,1atmにおいて,迅速かつ可逆的にエチレン,プロピリンを吸収した。アミン配位子の窒素原子上の置換基がかさ高くなるにつれて,エチレン吸収の選択性(エチレンとプロピレンの吸収量の比)は著しく大きくなり,ペンタプロピルジエチレントリアミンの場合に最大値18に達した。 さらに液相系で得られた結果を発展させて,窒素原子上にアルキル置換基を有するエチレンジアミンを導入したポリスチレン樹脂と塩化銅(I)から,エチレン/プロピレン混合ガスからエチレンを選択的に吸着する固体吸着剤を開発した。トリエチレンジアミン基を導入したポリスチレン樹脂を用いて調整した吸着剤において,13という高いエチレン吸着選択性を実現した。それに対し,窒素原子上にアルキル置換基を持たないエチレンジアミンを導入したポリスチレン樹脂より調整した吸着剤では,選択性は1.6にすぎない。すなわち,均一系の吸収液で見出したのと同様に,配位子をかさ高くして銅(I)イオンの周囲を,より込み合うように分子設計することにより,プロピレンよりも優先的にエチレンを吸着させることに成功した。
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