スピン間有効交換相を作用の非経験的分子軌道計算に基づく新規高分子磁性体の設計
Project/Area Number |
01604574
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山口 兆 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (80029537)
|
Project Period (FY) |
1987 – 1989
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
|
Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1989: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
|
Keywords | 高スピンイオンラジカル / ホ-ル / ド-ピング / ポリカルベン / σホ-ル / πホ-ル / スピン多重度 |
Research Abstract |
本研究は新規高分子磁性体の分子設計のための基礎的デ-タを提供することを目的として実行された。本年度は特に電気伝導のキャリア-となるド-プされたホ-ルあるいは電子と局在スピンとの相互作用について詳細な検討を行った。 まず、三重項メチレンをCC二重結合で連結した糸(1)を考察した。中性の状態ではビスメチレンのσ電子対はπ電子系のスピン分極により反強極性的相互作用をしていることが判明した。次に、1をイオン化することによりホ-ルを1個導入した場合の完全配置SCF(CASSCF)計算を実行したところ、高スピン(HS)状態の方が低スピン(LS)状態より安定になることがわかった。一方、1に電子を1個導入したアニオンラジカルではLS(二重項)がHS(四重項)よりも安定であった。さらに、CASSCFの主配置より判断する限り、イオンラジカル系ではスピン多重度間で主配置が異なり、いわゆる局在スピン系に対して適用されるハイゼンベルグモデルが使用出来ないことがわかった。 次に、HS状態にあるポリフェニルセルベン(2)のNBMOにあるπ電子を1個イオン化することにより生成するイオンラジカルのスピン分極型MO計算を実行したところ、中性状態に比較してスピン多重度が1減少するのみで、LS状態がHS状態よりも安定になることはなかった。一方、2のNBMOに電子を1個付加しても、事情は同じであった。 上記の結果より、HSあるいはLS状態にある中性のポリカルベン系にホ-ルあるいは電子をド-プすると、それらのド-プされる軌道の対称性によりスピン多重度が変化することが判明した。この結果より、高スピンイオンラジカルを生成するためには、ヘテロ原子や極性置換基を適当に導入することにより、ホ-ルあるいは電子の導入軌道を制御する必要があると言えよう。
|
Report
(1 results)
Research Products
(8 results)