Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1989: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Research Abstract |
低分子および高分子系新規導電性有機物質の合成およびそれらの構造と電子物性の解明を目的として研究を行った。低分子系導電性有機物質に関しては、次元性増大の観点から、一分子中に多数のカルコゲン原子を有する新規非対称型ドナ-分子、4,5-エチレンジチオ-4',5'-ビニレンジチオテトラチアフルバレン(EVT)およびそのメチルおよびそのメチル置換誘導体、4,5,6-トリメチレン-4',5'-ビニレンジチオテトラチアフルバレン(TVT)、および2-オキソ-1,3-ジチオ-ル-4,5-ジチオレ-ト(dmio)錯体(Ni(dmio)_2)、pt(dmio)_2を合成した。合成した新規非対称型ドナ-分子の酸化還元電位は、相当する対称型ドナ-分子の中間の値であった。Ni(dmio)_2錯体、pt(dmio)_2錯体における第一、第二酸化還元電位の差はそれぞれ0.49、0.45Vであり、oh-siteク-ロン反発エネルギ-は比較的小さいことが示された。電気化学的結晶成長法により、EVTのPF_6,AsF_6,IBr_2,AuBr_2,Aucl_2,Cu(SCN)_2塩およびTVTのPF_6,AsF_6,IBr_2,AuBr_2,Au(CN)_2塩の単結晶を得た。EVT塩の室温電導度は10^<-1>〜10^2scm^<-1>,TVT塩の室温電導度は、10^<-4>〜10^<-2>scm^<-1>であり、電導度の温度依存性はいずれも半導体的であった。EVT_2PF_6塩およびEVT_2AsF_6塩の結晶構造解析を行った結果、多くの導電性有機錯体に見られるように、EVT分子によるカラムが形成されているが、カラム内にはvan der Waals半径の和より短かい分子間S…S接触触は見られず、カラム間だけに短かい分子間…接触が存在することがわかった。導電性高分子については、大きなπ電子系側鎖基であるペリレン環を有する新規導電性高分子を3-ビニルペリレンの電解酸化重合によって合成した。作用電極表面に析出した高分子は、支持電解質のアニオン部をド-パントとして含む、ペリレン環の部分酸化されたラジカルカチオン塩であることを固定した。生成した高分子の室温電導度は、約1×10^<-4>scm^<-1>であった。
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