Project/Area Number |
01604602
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
三谷 忠興 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (50010939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲辺 保 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (20168412)
岡本 博 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (40201991)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 一次元物質 / 電荷移動 / プロトン移動 / 分子設計 / 混合原子価 / 水素結合 / 電導物質 |
Research Abstract |
一次元物質には電子一格子相互作用に起因する不安定性が存在する。この不安定性を水素結合の導入によって制御し、新しい型の電導物質を創造するのが本研究の目的である。その具体的な方法としては、ハロゲン架橋混合原子価錯体に強い水素結合を導入し、格子歪による混合状態を抑制し、バンド・ギャップが純粋に電子間反発力によって形成される錯体を創ることである。分子設計に基づいた物質改良により、Ni錯体について目的の有機半導体を創り出すことに成功した。このような電子状態をもつ一次元電導体は他に例がなく、これまでにない特異な性質を持つことが判明した。その光学的スペクトルは綬和機構を含まない一次元状態密度をそのまま反映たものである。従って、励起状態は著しく非局在化しており、発光は検出されない。その反面、異方性の極めて高く効率のよい光伝導性を示す。また、この系は反強磁性的なハイゼンベルグ型の磁気的相互作用を持つにもかかわらず、相転移は見られない。大きな光学的ギャップを持つにもかかわらず、小さい電機伝導の活性化エネルギ-を持つことは、スピンの揺らぎに基づく新しい電導機構が存在している可能性がある。さらには、この電子状態を酸化物超伝導体のそれと比較すると、そのバンド構造は著しく類似している。その本質的な相違点は、酸化物では二次元的な電子状態であるに対し、この物質がほぼ一次元的であることである。 上記の分子設計、合成、および物性測定の結果は、水素結合の導入によって新物質を開発すると言う本研究の基本的な考え方が実証されたことを示している。特に、新しく開発された錯体への電子或いはホ-ルの注入は、新しい型の超伝導を開発する観点からも注目に値する。その電子状態の詳細な研究は新たな展開の可能性をはらんでおり、電気的、磁気的、光学的性質等について、総合的研究を推進させるに必要がある。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)