朝鮮の政治的変革と社会・経済構造の変化の研究ー植民地期を中心にー
Project/Area Number |
01605503
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
森山 茂徳 新潟大学, 教養部, 助教授 (50107497)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 政治的独立領域 / 産業基盤整備 / 社会的流動性 / 同化政策 / 経済的格差 / 大衆運動 / 動員体制 / 社会的不安定 |
Research Abstract |
植民地期の朝鮮を三期に分け、政治的変革と社会・経済構造の変化の関連と、その理論的一般化を況みた。 1 武断統治時代(1910-1918年)-政治的変革は日本陸軍主導による「政治的独立領域」形成と鮮満一体化のための必要最小限のものであり、朝鮮人を政治に参与させず、憲兵による統治がなされた。経済的にも鉄道・通信網の整備等、流通面で変革されたが、本国からの財政的独立が志向されたため、土地所有関係の確定等最小限であった。社会面でも旧来の農村構造が維持されたが、土地を追われた農民の増加は社会的流動性を増大させた。 2 文化統治時代(1918-1931年)-政治的変革は政党主導による前期の同化と後期の社会化のためになされ、前期には公共事業や産米増殖による地方エリ-ト掌握と工業化が、後期には行財政整理や増税に伴う社会問題の統制がなされた。経済的には資本主義化が開始され、受益層が形成・拡大したが、経済格差も増大した。社会的には流動性が増大し、総督政治への対応をめぐる分裂とともに、近代化に伴う社会問題と大衆運動が勃興した。 3 大陸基地化時代(1931-1945年)-政治的変革は陸軍主導による重工業化と動員体制整備のためになされ、満州防衛のための北朝鮮開発や農村からの強制的収奪・連行が実行された。経済的には全資源を戦争遂行のために重点的に配分したため、偏った経済構造へと転落した。社会的にも総督府の動員政策により流動性が一層激化し、強化された社会統制も加わって、農村が徹底的に荒廃するとともに都市のスラム化も一層進んだ。 植民地期朝鮮の政治的変革は社会・経済構造に流動性と経済的格差の増大を生み出し、政治的には受益層が総督政治を支持する一方で、疎外された層は大衆運動を展開する。経済的には資本主義化が進んだが、社会的には旧来の社会構造が大きく変化した。植民地としての経済的偏向と社会的不安定がもたらされたのである。
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