Project/Area Number |
01611505
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉浦 直治 東京大学, 理学部, 助教授 (80196716)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1989: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 大気 / 窒素 / 同位体 / ^<36>Ar / 隕石 / 金星 / 揮発性元素 / 微惑星 |
Research Abstract |
惑星大気の起源を知る目的で惑星の材料となる微惑星中の揮発性元素が時とともに変化したかどうかを研究した。隕石中の揮発性元素の量は熱変成の温度と相関があることは良く知られているが(ここでは隕石の微惑星の一つの例と考える。)これが微惑星集積時にすでに決まっていたのかあるいは熱変成の最中に決まったのかはまだ解っていない。この問題を解決するために同位体の質量分別効果(例えば拡散などでものが逃げるときに軽い同位体ほど速く逃げる効果)を用いることにした。具体的には窒素の同位体比を種々のコンドライトについて測定して、熱変成の程度の高いものほど窒素の量が少なく、重い同位体が濃集していれば熱変成の時に窒素が逃げたことになる。窒素は昨年度作製した質量分析装置を用いて測定した。隕石の窒素同位体比には宇宙線照射の影響があるので、これを補正するために^<21>Ne,^<38>Arの測定も同時に行った。その結果以下のことが解った。(1)一般にタプ3の隕石はタイプ4,5,6の隕石と較べて、軽い同位体が多い。(2)しかし上述の同位体の質量分別効果から期待される様な窒素の量と同位体比の間の一対一の相関は見られなかった。従って、これらの結果の解釈は単純ではないが、どちらかと言えば窒素が熱変成中に逃げたという説を支持する様に思う。というのは、窒素の量は、もし窒素を保持している粒子が非一様的に分布していれば必ずしも同位体比と一対一の相ををもたなくても良いからである。種々の考察から微惑星から揮発性元素の逃げるタイムスケ-ルは2〜3m.y.と考えられる。これは内惑星の形成のタイムスケ-ルとほぼ同じであり、金星、地球、火星の順で^<36>Arの量が減っていることは、大気の起源を考える上で重要な問題であるが、同じ順で惑星形成の時間が長くなり、材料の微惑星から揮発性元素が失われることになって説明できる。
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