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¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
1.最近南極で発見された最も始源的と思われる三つの炭素質コンドライト(Yamato-82162,Yamato-86720,Belgica-7904)の詳細かつ総合的な岩石鉱物学的な研究を行った。その結果、いずれも普通のCI隕石とは多くの異なった性質を示すことがわかった。また、いずれの隕石も500-700℃の熱による影響を受けており、揮発性元素の損失が認められる。このようなことから、これら三つの隕石は普通のCI、CM隕石とは異なった歴史を経たことは明らかであり、そのことは即ちC隕石母天体の物理化学的条件がかなり不均一であったことを示しているとともに、そのような始源的母天体での熱源は一体何かという新たな問題を提起してる。 2.Y82162隕石の中に層状ケイ酸塩からなる脈が存在することを発見した。これまで炭素質コンドライトマトリックスの大部分を占める層状ケイ酸塩が、太陽星雲ガスからの直接凝縮物か、あるいは母天体集積後に氷が溶解した水との反応生成物か、長い間問題になって来た。今回の発見は後者の成因説を強く支持するとともに、水質変成が母天体表層での角れき岩化過程と同時に進行したことを示す証拠として重要である。 3.かなり進化の進んだ母天体を形成していたと思われるYamato-74130ユレイライトに、Fe,S,Ca,Al,Naに富む非常に大きな炭素質脈(幅0.5mm、長さ5mm)を発見した、それらの元素は炭素資コンドライトに比べるとユレイライトにおいて著しく損失しているものである。また炭素質コンドラントに特有なCa-Al-Tiに富む輝石が多量に存在することがわかった。これらの発見は、ユレイライトが、炭素質コンドライトのような始源的隕石からなる微惑星の衝突によって、より大きな母天体に成長していく過程の極めて初期の段階にできたものであることを示す重要な証拠と言える。
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