赤核脊髄路細胞における変性と修復の分子機構に関する研究
Project/Area Number |
01623506
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村上 富士夫 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (20089882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石浦 正寛 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (20132730)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | 運動系の変性と修復 / 分子機構 / 大脳 / 赤核-脊髄路細胞 / シナプス発芽 / PHA-L / 終末の分枝増加 |
Research Abstract |
運動系の細胞の変性に対する修復には様々な機序が考えられるが、再生能力の非常に乏しい脳内の神経細胞の場合、シナプス発芽が非常に重要な役割を果していると考えられる。本研究の最終的な目的は、入力線維の損傷によって赤核脊髄細胞に起こるシナプス発芽の分子機構を明らかにすることである。赤核脊髄路細胞における発芽は、単にその変性に対する修復機構として現象面における理解が進んでいるばかりではなく、運動学習の基礎となっている可能性もあり、本研究によって運動系の制御・調節に関する理解が一段と深まることが期待される。 本年度は赤核に与えた変性の結果生ずるシナプス結合の再構成のメカニズムを明らかにするために、投射線維の形態の定量的解析をおこなった。生後数カ月末満の仔ネコの大脳皮質感覚運動野を一側性に壊すと交差性大脳-赤核投射の著しい強化を起こる。この強化のメカニズムにはいくつかの可能性が考えられるが、その1つは終末領域における分子の増加である。そこで、正常ネコと皮質破壊ネコとを用いて交差性大脳-赤核投射線維の分枝の定量的解析をおこなった。線維は順行性のトレ-サ-であるPHA-Lを用いて染色し、50μmに切断した脳切片中に認められる線維断片について線維の分枝回数を計測した。その結果正常ネコでは80%のものが1度も分枝をせず、残りも殆どが3回以下の分枝を示したに過ぎなかったのに対し、大脳皮質を損傷したネコでは40%以上の線維が分枝をし、また4回以上分枝をするものが有意に増加した。したがって損傷によって生ずる投射の強化に軸索の分枝の増加が関与している可能性が考えられる。このことは、交差性の投射の強化は、投射領域における局所的な細胞間相互作用によっても起こり得ることを示唆している。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)