哺乳動物網膜神経節細胞の軸索・樹状突起の再生・伸展過程
Project/Area Number |
01638511
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福田 淳 大阪大学, 医学部, 教授 (90028598)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安達 栄治郎 大阪大学, 医学部, 助教授 (30110430)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | 網膜 / 視神経 / 坐骨神経 / 神経移植 / 哺乳動物 / ラミニン / 順行性標識 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
1.成熟ハムスタ-を用い、坐骨神経自家移植による網膜神経節細胞軸索の再生過程について、移植片断面の電顕的観察、抗ラミニン抗体の免疫組織蛍光法による光顕的観察を行った結果次のことが明らかとなった。(1)シュワン細胞の細胞質に囲まれて再生した脊髄軸索には正常と同様の厚い髄鞘を被ったもののほかに、中、小型の軸索径にあわせた髄鞘の再編成過程を示す像も観察された。無髄の再生軸索は群集することが多いが、それらのいずれもが必ずシュワン細胞の細胞質突起か基底膜に取り囲まれていた。(2)抗ラミニン抗体免疫反応陽性構造は、正常坐骨神経では規則正しい環状を呈するが、移植片では大小不整で不規則な配列を示し、いづれもシュワン細胞基底膜に相当するものと考えられる。 2.成熟ラットの網膜損傷部に凍結処理によりシュワン細胞を死滅させて坐骨神経移動を行った場合と坐骨神経片にラミニン塗布を施して移植を行った場合とで、網膜軸索の再生伸展に差があるかどうか検討したところ、以下の結果を得た。(1)蛍光色素ロ-ダミンデキストランによる順行性標識法では、いづれの場合にも移植後2週間では移植片の強膜縫合部から2mm以上再生伸展した網膜軸索は殆どみられなかった。移植後1ケ月では、ラミニンを添加した場合のみ2mm以遠の部位で多数の再生線維がラベルされた。(2)移植片の中枢端にロ-ダミン-HRPを注入し逆行性標識された網膜神経節細胞を網膜全伸展標本上で観察したところ、ラミニン非処置群の網膜ではラベルされた神経節細胞は皆無であるのに対し、ラミニン処置群では条件によっては標識細胞が確認できた。しかし、a)動物の週齢、b)ラミニンの鮮度・濃度、c)移植後の経過時間などの条件の違いによりその結果にばらつきがあった。この研究では眼球の強膜損傷部に坐骨神経を挿入移植したため、限られた数の神経節細胞の軸索再生しか調べることができなかった。今後移動植片を視神経切断断端に縫合し、網膜全体に多くの細胞を再生させる方法も併用して再生神経節細胞の数をより定量的に検討する必要がある。 本研究のこれまでの成果は、哺乳動物の網膜軸索再生過程に於けるシュワン細胞とその基底膜の重要性を確認すると共に、基底膜成分の一つであるラミニンがin vivoにおいても網膜軸索の伸展促進効果を持つ可能性を示唆している。今後、in vivoに於けるラミニンの軸索伸展促進効果を最善にし得る諸条件を明らかにしてゆく必要がある。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)