Research Abstract |
琉球列島班(A4班)が分担する琉球列島地域は日本の地域の方言には例をみない音声現象がすくなくない。また,奄美から与那国にいたる島々の間の方言の音声的な変異の幅は優に青森から鹿児島までのそれをうわまわっている。またそこには,無形の文化財としての価値のきわめてたかい,方言でかたられ,あるいはうたうわれ,もしくは演じられている,さまざまな,そして独自の,口承文芸,古歌謡,演劇群が大量にあり,これらはいずれも,伝承者の高齢化,他界という理由から緊急に収集の対象にすべきものである。 研究の第1年度には,研究代表者,研究分担者のほかに,沖縄言語研究センターの会員からなる多数の研究協力者によって,昨年すでにおおよその計画が立案されていた研究に着手すると同時に,4年間にわたる研究期間の計画の詳細を立案,個々の収集作業にさきだって必要な具体的な準備の作業にはいった。それらはつぎの3項目にわけられる。 (1)全国共通項目にかかわる音声の収集 【○!1】音韻論的な観点からみて,琉球列島諸方言を代表するとみられる列島各地の方言 【○!2】那覇市を中心とした沖縄島中南部の都市化した地域の方言 (2)琉球列島班が独自におこなう音声の収集 【○!1】単語レベル,......琉球列島各地の方言を対象とした既刊の,および編集中の辞典,語彙集,また,調査ずみの方言調査票などの項目の音声化。 【○!2】文レベル......おなじく,辞典,語彙集などにみえる例文の音声化 【○!3】作品レベル......自然会話,民謡,古歌謡,芝居脚本などの音声の収集とテキスト化 (3)収集した音声の調音音響的な研究,および音声の理論的研究,
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