Project/Area Number |
01645502
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森岡 義幸 東北大学, 理学部, 助手 (20004492)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1989: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 酸化物高温超伝導体 / ラマン分光 / 高圧 |
Research Abstract |
1.目的 ラマン散乱は、分子や結晶の振動状態を研究する有力な手段である。例えば構造相転移におけるソフトモ-ドのように、振動そのものが物理/化学現象に深く関係している場合にはもちろん、その他の場合にもある種の分析手段として有用である。後者の場合、試料の環境を問わず測定できることに最大の価値がある。本研究では、超伝導酸化物のラマン散乱をさらに多方面から研究するために、圧力依存性、および励起波長依存性の測定を企図した。前者は超伝導酸化物の高圧下の構造に関してい有用な情報源となる。また後者はスペクトルを理解するための基礎的なデ-タとなる。2.実験方法 本研究では“タイプIIA"のダイヤモンドの中から特に蛍光の弱いものを選択し加工されたものを購入して高圧用ダイヤモンドアンビルセルに用いた。また散乱光集光系を改良した。これらによって、ダイヤモンドの蛍光発光による妨害が少し、高圧下のラマン散乱の測定が可能になった。励起波長依存性の測定は、YBa_2Cu_3O_x(X=6.2、6.05)について行なった。焼結体を粉砕して粉にし、これに少量のBaF_2粉末を良く混ぜ、BaF_2の245cm^<-1>のラマン線を強度標準とした。Ar^+レ-ザ-、He-Neレ-ザ-、He-Cdレ-ザ-の数本の発振線を用いて常圧下、約30Kで測定した。3.結果及び考察(1)高圧ラマン散乱前項で述べた対策によつとてダイヤモンド自体の発行による妨害が低減され、測定が可能となった。500、440、338cm^<-1>のバンドは加圧によって高波数シフトするが顕著なスペクトク変化は見られず巣、33kbarでは常圧の構造が保たれていることを示している。今後さらに測定条件を最適化してS/N比の改善を図つたうえで、他の物質についても適用してゆく方針である。(2)励起波長依存性453、340、144cm^<-1>のバンドは励起波長が長くなるにつれて強くなることがわかった。Venkateswaranらは1.75eVにCu-O面内の電荷移動遷移を観測している。そこで今回の結果は、励起波長が長くなり1.75eVに接近してゆくにつれて共鳴効果によるラマン強度の増大が起きている、と解釈される。最近Zamboniらにより、1.06μの近赤外光とFT-ラマン分光計を用いてこの物質のラマン散乱が報告された。そのスベクトルは本研究の可視領域のものとまったく異なり505cm^<-1>とその倍音のみからなつている。また本研究の結果をさらに長波長へ外挿したものでもない。両者がどのように繋がるのか興味深く、700-1,000nmの近赤外光が用いた系統的な研究が望まれる。
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Report
(1 results)
Research Products
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