Project/Area Number |
01646504
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
児玉 安正 弘前大学, 理学部, 助手 (30205421)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1989: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 下層雲 / 大気海洋相互作用 / 衛星 / 大気の放射過程 / オホ-ツク海気団 |
Research Abstract |
大気境界層内にできる下層雲は、大気海洋相互作用の鍵である海面のフラックスに影響するので、気候の形式・変動を論じる上で重要である。この下層雲の影響として、海面での放射フラックスの変化の他に、下層雲雲頂でおこる放射冷却によって大気境界層が冷却された結果、海面の熱フラックスが変化するという過程が考えられる。本研究では、暖候期のオホ-ツク海・北西太平洋域にみられる下層雲を対象に、その分布や変動特性、下層雲が大気境界層の冷却や海面の顕熱フラックスに与える影響を調べた。本年度の研究成果は次のとうりである。 1.気象衛星「ひまわり」の可視・赤外の2種類の雲画像を組合せて使用し、下層雲域を中上層雲域と区別して検出する方法を開発した。 2.上記の画像を多数取得し(購入した設備備品を利用)、統計的な処理を行って、下層雲の分布や変動特性を調べた。高気圧下でも存在し、地形の影響を大きく受けるなど、この海域の下層雲が中止層雲とはかなり異なった挙動を示していることがわかった。 3.通常の気象観測デ-タの解析により、オホ-ツク海域の下層寒気の成層構造や、大気中の非断熱加熱量、海面での顕熱フラックスを求めた。オホ-ツク海の下層気温の低下時に、放射冷却によると思われる強い冷却が下層雲の雲頂付近で起きていること、またそのとき海洋は大気を加熱し下層雲による大気の冷却を打ち消す作用をしていることがわかった。これらのことは、先に述べた下層雲が海面の顕熱フラックスを変えるという過程の存在を示唆している。 なお、申請書に記載したNOAA衛星画像による下層雲の微細構造の解析は、大気境界層の状態を知ってから行なうと効果的であると考えたため、上記3を優先させた。この問題には来年度以降取り組みたい。
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