Research Abstract |
1・硫黄原子を含む平面性分子の合成と反応性 チアンスレンはの酸化還元反応を利用した電子伝達系の構築のため芳香環を多く含むチアンスレン同族体の合成を行い、BTA[2,3,6,7-bisphenylene-1,4,6,8-tetrathiaanthracene],BTP[2,3,6,7-bisphenylene-1,4,5,8-tetrathiaphenanthrene].BTT[2,3,6,7,10,11-trishenylene-1,4,5,8,9,12-hexathiaphenylene]を一段階で合成し,AlCl_3/CH_2Cl_2を用いてラジカルカチオンを発生させesrスペクトルで確認した。 2・チアンスレンの変換反応と合成試剤としての用途 チアンスレンは市販品として簡単に入手でき各種の反応性の高い活性種が得られる。今回は,チアンスレンの一般的反応性を検討し,(1)チアンスレンモノスルホキシドとGrignard試薬との反応で開環反応が起こりビス-o,o'Grignard試薬が発生できることが見いだされた。このビスGrignard試薬よりMartinのスルフランが一段階で合成できた。(2)チアンスレンモノオキシドをLDAで処理するとスルフィニル基のα-位がリチオ化され,後ヂフェニルスルフィド等の親電子剤と反応させると位置選択的にα-位に置換した化合物が得られることが見いだされた。この化合物をBuLi等で反応させると環縮小したヂベンゾチオフェン誘導体が得られた。 3・ヘテロ-ヘテロ環,ヘテロ-ベンゼン環のカップリング反応 ピリジン環を有するスルホキシドとEtMgBr等のGrignard試薬を反応させると,ピリジン環同士やピリジン環とフェニル環とがカップリングしたビピリヂルやピリヂルフェニルが収率よく得られる。これは,硫黄原子上でのスルフランを中間体とする反応であることが明らかになった。
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