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¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
1.まずナフタレノファン(1)アントラセノファン(2)の合成をおこなった。これまでの本研究者のシクロファン合成法に基づき、まずベンゼンおよびナフタレン環が縮環したプロペレノンを合成し、これらを環縮小して、〔6.2.2〕プロペレンカルボン酸とした。ところが、これらは極めて不安定であったため、これ以降の合成反応を室温以下でおこなうことを必要とした。結局プロペレンカルボン酸を塩化リチウム存在下、四酢酸鉛を用いて脱炭酸すると、橋頭位塩化物がえられ、これを塩基処理することにより目的のパラアセノファン1,2を合成することに成功した。 2.1,2の吸収スペクトルを測定したところ、1,4-ジエチル体に比べて各々28nm、22nmの長波長シフトを示しており、これは面外歪みの大きさを示すものである。 3.二次元NMRを用いて1,2のNMRスペクトルにおける各プロトンの帰属をおこなった。その結果、1,2では芳香環とメチレン鎖との距離が、対応するベンゼノファンよりもかなり大きくなっていることがわかった。 4.石油エ-テルから再結晶した2のX線構造解析をおこなった。芳香環は1,4位の結合角が小さいことを除いて、アントラセンそのものの構造と極めてよく一致しており、架橋によりπ骨格の結合次数が大きな影響をうけていないことがわかった。1,4位の折れ曲がり角は21.0°であり、対応するベンゼノファンよりも1.5°大きくなっている。一方メチレン架橋部の歪みはベンゼノファンに比べて小さくなっていることがわかった。つまり、π系の柔軟性が増加したことにより、π系はより大きく折れ曲がり、その分架橋部の歪みが減少したことが明らかとなった。1,2の反応性について現在研究をおこなっている。
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