開殻分子クラスタ-の磁気的相互作用に関する理論的研究
Project/Area Number |
01648514
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山口 兆 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (80029537)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1989: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 開殻分子クラスタ- / 磁気的相互作用 / 高スピンイオンラジカル / スピン積層規則 / スピン分極規則 / 分子間軌道相互作用 / 強磁性 / フエリ磁性 |
Research Abstract |
本研究は開殻分子クラスタ-における磁気的相互作用をab initio計算により先見的に評価することにより、分子集合系の磁気的性質を解明することを第一の目的とし、究極的には理論計算に立脚して新規な磁気的特性を有する物質の分子設計することを目的として実行された。この目的を達成するために、まず有機開殻分子の集合系に可能な状態として、結晶型磁性体、アモルファス磁性体、金属イオンなどを含む複合磁性体の実現可能性について考究した。これらの解析の結果、本研究では第1の結晶型有機磁性体の分子設計を主目的に設定した。その第一歩として、結晶性が比較的良好である電荷移動(CT)錯体の強磁性化およびフエリ磁性化の可能性について検討した。 CT錯体の磁性化を達成するためにはまず電子供与体あるいは受容体になる高スピンイオンラジカルの分子設計が必要となる。そこで、これら分子種の設計原理としてはすでに我々の提案しているスピン分極規則およびスピン非局在化規則が適用司能であることを、いくつかの芳香族ドナ-イオンラジカル種のab initio計算結果により確認した。現在、2,3の実験グル-プにより高スピンイオンラジカルの合成とその確認がなされつつあり、理論と実験の協働効果が期待される。 次に、実際にスピンの長距離秩序状態を実現するためには、分子間の磁気的相互作用が大きくなる必要がある。特に強磁性体の実現には支換相互作用が正になる必要がある。そこで、従来より提案してきたスピン積層規則あるいは分子間軌道相互作用規則がイオンラジカル種の場合にも適用可能であるかどうかについて検討した。種々の積層様式についてab initio計算を実行した結果、イオンラジカル間の有効交換相互作用にも上記規則が適用可能であることが判明した。現在、実験グル-プとの協同によりこの可能性を検討しつつある状態です。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)