Project/Area Number |
01648521
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
中垣 良一 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (20159057)
|
Project Period (FY) |
1989 – 1990
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
|
Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1989: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
|
Keywords | 外部磁場効果 / 超微細相互作用 / ビラジカル前駆体 / かご内生成物 / 散逸生成物 / スピン多重度 / 同位体置換 / 収量比(分岐比) |
Research Abstract |
二官能基性鎖状分子の光酸化還元反応について、外部磁場効果を研究した。用いた化合物は、p-O_2N-C_6H_4-O(OH_2)_<12>-NBzC_6H_5(Bz=*CX_2C_6H_5,*C=^<12>Cまたは^<13>C,X=HまたはD)である。窒素原子と隣接するメチレン基およびベンジル位において、分子内光酸化還元が起こる。ベンジル位酸化体とメチレン鎖酸化体を与える分子内反応は、かご内過程である。ベンジル位酸化体が主生成物である。今回研究に用いた系では超微細相互作用が重要な役割を果たしているので、かご内生成物収量に対する磁場効果の現われ方からビラジカル前駆体のスピン多重度を推定できる。 外部磁場(0.64T)印加による生成物収量の変化を次の表に示した。 ベンジル位酸化体 メチレン鎖酸化体 ^<12>C-ベンジル体 0.86±0.02 0.92±0.03 ^<13>C-ベンジル体 0.85±0.02 0.88±0.02 Dーベンジル体 0.86±0.02 0.93±0.02 かご内反応収量の低下から、3重項ビラジカルの関与していることが結論される。一方、ベンジル位の同位体(^<13>C,D)置換により、ベンジル位酸化とメチレン基酸化の分岐比(Rb)の変化することがわかった。ベンジル位酸化生成物とメチレン鎖酸化生成物の収量比(Rb)の値は次の通りである。 Rb(0) Rb(H) ^<12>C-ベンジル体 2.67±0.03 2.87±0.02 ^<13>C-ベンジル体 2.51±0.03 2.60±0.02 Dーベンジル体 2.06±0.03 2.23±0.03 Rb(0)およびRb(H)は、それぞれ零磁場と0.64Tの磁場存在下の分岐比を表わしている。以上のように、外部磁場効果と同位体置換を組み合わせることによって、ビラジカルを経由する反応のかご内生成物収量を制御できた。従来、外部磁場効果によりかご内生成物と散逸生成物の収量比を変える研究例が知られていたが、今回の実験の特色はかご内過程の分岐比に磁場の影響を見出した点にある。
|