前周期遷移金属錯体を複合的に用いる新しい反応試剤の開発
Project/Area Number |
01649519
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鈴木 啓介 慶応義塾大学, 理工学部, 助教授 (90162940)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1989: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 前周期遷移金属 / 複合反応試剤 / 糖質化学 / C-アリ-ルグリコシド / カチオン錯体 |
Research Abstract |
先に我々は、4族元素の二塩化メタロセン錯体と過塩素酸銀との組合わせがフッ化グリコシルを極めて強く活性化する能力を有することを見いだした。今年度は、この優れたクリコシド活性化法を背景として糖質合成の新しい可能性を探るとともに、試薬の複合化による高次機能の発現の可能性をより一般的に検討した。 最近、ビネオマイシンやラビドマイシンの様に、特異な芳香環部分と糖質部分とが炭素-炭素結合で結合した新しい化合物が単離され、その新規な構造から、また抗腫瘍性を示すことから注目されている。合成化学的にはC-アリ-ルグリコシド結合の形成が要点である。これに対し、先のグリコシド活性化法の適用を検討した結果、糖質と芳香環との結合に関する二つの方法を開発した。方法Iは、フリ-デル・クラフツ型の芳香族置換によるものである。Cp_2ZrCl_2とAgClO_4の複合系が特に効果的で、糖と芳香環との結合が従来法に比べて、格段に速やかに、高収率で行える。この反応の立体、並びに位置選択性を明らかにした。方法IIは新反応である。ルイス酸条件下、フッ化糖とフェノ-ル類との反応を行うと、低温でO-グリコシド化が起こる。昇温するとそれがC-グリコシドへ転位し、位置選択的にC-アリ-ルグリコシド結合が生成する。反応は通常のルイス酸でも進行するが、Cp_2HfCl_2とAgClO_4の複合系が様々な点で優れている。応用として、ビネオマイシンB_2のC-アリ-ルグリコシド部分を合成したほか、O-グリコシド形成についても基礎的なデ-タを集積した。 活性化機構に関してはカチオン錯体におけるフッ化物イオンとの高い親和性を想定している。この観点から種々検討の結果、二塩化メタロセンと過塩素酸銀のモル比を従来の1:1にかえ、1:2とした場合にさらに高い反応性が得られることが分った。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)