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¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1989: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Research Abstract |
本研究においては,陽電子消滅法を高度化し,単色陽電子線を発生させ,そのエネルギ-を可変とし,対象試料への深さの関数として,電子状態,格子欠陥分布を調べる方法に改良し,金属-半導体界面の評価,界面反応過程の解明に応用することを目的とした。以下では,研究実績の一例として,TiN/Siへの応用について記す。窒化チタン(TiN)は,Ti単体よりも電気抵抗率が低くかつ高融点の安定な化合物であり,LSI用電極材料として注目されている。反応性スパッタ法によりSi上に形成したTiN膜中の格子欠陥分布の測定と,格子欠陥種の同定を行った。Si(100)面に,800nmの厚さのTiN膜を,DCプレ-ナ・マグネットロン型のスパツタ装置で作製した。2種類の異なる作製条件で成膜したTiNのRBSの結果から,チタンと窒素の比は,1.10,0.98であり,前者の抵抗率は40μΩcmで金色を呈するのに対し,後者の抵抗率は150μΩcmで暗灰色を呈する。単色陽電子線による評価結果は,後者の膜が多量の原子空孔型欠陥を含んでいることを明確に示した。 RBSの結果と単色陽電子線による評価とから,後者の膜は多量のチタン空孔を含んでおり,これが高抵抗率の原因であると結論できる。さらに,X線回折による膜の配向の測定から,2種の膜の配向が全く異なっていることが判った。従って2種の膜に対応する成膜条件は,膜中の点欠陥量のみならず,膜の配向をもコントロ-ルしている。成膜の初期とその後の成長時の条件を独立に変化させることにより,膜の配向と膜中欠陥双方の独立なコントロ-ルが可能である。
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