ヒト免疫不全ウイルスの不完全粒子産生クローン細胞の分離と免疫学的応用
Project/Area Number |
01653004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
生田 和良 北海道大学, 免疫科学研究所, 教授 (60127181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 莞二 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (00100991)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 1989: ¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
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Keywords | ヒト免疫不全ウイルス / 持続感染機構 / 発症機構 / 不完全粒子 / 重感染 / コンプリメンテイション / リコンビネイション |
Research Abstract |
現在のHIV研究で最も重要な課題は、無症状キャリア(AC)期におけるエイズ発症予防法の確立である。この為には、HIV持続感染機構及びエイズ発症機構を解明することが前提課題となる。私達は、MTー4細胞へのHIV感染系を用いることにより、完全なHIVによる初感染を受けた細胞は破壊されるが、生き残る細胞は変異を起こしたHIV遺伝子を持っており、従って感染性を持たない不完全HIV粒子を産生していることを見出した。また、この不完全HIV粒子産生細胞は、完全な感染性HIV粒子による重感染を受けても細胞傷害が現れなかった。しかし、重感染後の細胞は感染性HIV粒子の産生細胞に変わっていることを見出した。 そこで、各種変異HIV(京大・ウイルス研・足立昭夫博士より分与)をM10(MTー4のクローン細胞)に感染したところ、vif及びvpu変異HIV感染では、細胞傷害後一部の細胞が生き残り、HIVDNA及びHIV蛋白が認められる持続感染細胞となった。一方、gag(p18及びp15)及びpo1(prot.及びendo.)の一定領域の変異HIV感染では細胞傷害が認められず、HIVDNAは認められるがHIV蛋白の発現が認められない細胞となった。試みた他の変異HIVでは、wild-type HIVと同様に完全に細胞を破壊するものと、細胞傷害を示さず感染も成立しないものがあった。 また、重感染後の細胞からの感染性HIV粒子産生機構を明らかにする為、重感染前後の細胞内HIVDNA構造の差異を検討し、重感染前後のHIVDNA間で、Lー2クローン細胞ではcomplementation、Hー7クローン細胞ではrecombinationが起こっていることを示唆する結果を得た。 以上、HIV感染ヒトのACは変異HIVにより持続感染している時期、更にエイズ発症はこれらの各種変異HIV間の重感染を起こす時期とも考えられ、今後ACエイズ発症期の感染細胞内のHIVDNA(上記変異領域)構造を解析し、生体内のHIV持続感染及びエイズ発症機構を検討したい。
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Report
(1 results)
Research Products
(10 results)