ゼンチニクバエの成虫原基の分化とコントロ-ルする自己制御因子の研究
Project/Area Number |
01654504
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
名取 俊二 東京大学, 薬学部, 教授 (50012662)
|
Project Period (FY) |
1989
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
|
Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 1989: ¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
|
Keywords | センチニクバエ / 成虫原基 / 分化 / Sarcophagaレクチン / 形態形成 / 自律的制御 |
Research Abstract |
成虫原基は完全変態昆虫の幼虫の体内に存在する未分化細胞の集団でエクダイソンによって分化が誘導される。本研究の目的はセンチニクバエの成虫原基の分化過程で、原基細胞自からが合成して分泌し、その細胞表面のリセプタ-を介して自らの形態形成をコントロ-ルしていることが明らかになって来た、Sarcophagaレクチンの形態形成における機能を明らかにすることである。この研究では、成虫原基の分化にSarcophagaレクチンがどのように関与するかという点に焦点としぼり研究を行なった。1.センチニクバエ成虫原基の培養系の確立:センチニクバエの肢又は翅原基を、Graceの昆虫培地中で、エクダイソン存在下に培養すると、両原基とも終末まで分化することがわかった。特に肢原基の場合には、肢特有の剛毛や爪の発生が認められ、分化のステ-ジは、四段階に明瞭に区別された。2.成虫原基の分化におよほす抗Sarcophagaレクチン抗体の効果:前項の成虫原基の培養系に、Sarcophagaレクチンに対する抗体を添加すると、apolgyisというステ-ジで成虫原基の分化が停止し、異常形態が出現することが分かった。このレクチンのハプテン糖を添加しても同様の結果が得られた。この事実は、成虫原基が分化する際にSarcophagaレクチンを合成する時期があり、そのレクチンの活性を、抗体やハプテン糖で阻害すると、成虫原基の分化がおこらなくなることを示唆している。3.成虫原基によるSarcophagaレクチンの合成:上記の可能性と検証するために、成虫原基の分化過程を通して、Sarcophagaレクチンの量を定量した。その結果、未分化の状態ではSarcophagaレクチンの合成はないが、分化が進行するにつれてSarcophagaレクチンを合成し、培地中に放出することが明らかになった。これで、Sarcophagaレクチンが、成虫原基の分化に必須の蛋白であることが示された。今後は、その作用機構を調べる必要がある。
|
Report
(1 results)
Research Products
(4 results)