宿主不適合コドンを持つコリシン遺伝子の発現調節機構
Project/Area Number |
01656503
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
正木 春彦 東京大学, 農学部, 助教授 (50134515)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1989: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 大腸菌 / 遺伝子発現 / コドン使用 / コリシン / SOS機構 / ラクト-スプロモ-タ- / 緊縮調節 / タンパク質合成 |
Research Abstract |
大腸菌プラスミドColE2、ColE3のコリシンE2,E3遺伝子では、大腸菌適合コドンの使用頻度が極端に低いにもかかわらず、SOS誘発に伴ってコリシンは大量に発現し、逆にバックグラウンド(BG)蛋白合成が停止する。これは特に貧栄養条件で甚だしく、コリシンの翻訳過程そのものが希少tRNAを奪い取って、代謝系全体に及ぶ変化を誘起していると思われる。 一方我々の分離した大腸菌のDEC変異株中では、コリシンとラクト-スプロモ-タ-(P_<COL>、P_<LAC>)が同時に抑えられ、逆にBG蛋白合成は続行する。P_<LAC>とP_<COL>は共に、“緊縮調節"時に例外的に活性化される共通点を持つ。我々は、コリシンは一旦SOS誘発を受けると、不適合コドンを多用することで一種の緊縮状態を作り出し、BG遺伝子の転写を抑える一方、P_<COL>自身(及びP_<LAC>)の転写を更に活性化するというモデルを立て、これを検証する鍵がDECの実体解明にあると考えて、以下の実験を行った。 (1)コリシン発現とrelA:relA株中でも上記の現象は起こり、また野生株中でもDEC株中でも、コリシンの誘発に伴うpp(p)Gpp量に変化が見られないことから、通常のrelA依存の緊縮調節は関与していないと推定した。 (2)DEC変異の性質:pUCプラスミドのP_<LAC>下流にCAT遺伝子を挿入し、Cmに対する感受性によりP_<LAC>の発現を調べた。DEC変異株では、対数増殖期のみでP_<LAC>の発現が抑えられるという、phase-dependentな表現型を示した。またpUC-CATのCm耐性を回復する復帰変異が10^<-7>の頻度で分離でき、これはコリシンの発現も同時に回復していた。一方ColE1の発現は、cAMF-CRP系で促進されるという報告があるため、△cya,△crp変異の影響を調べたが、コリシンの発現は正常であった。以上(1)、(2)の結果は、DEC変異が、未知の遺伝子調節系の点変異であることを示唆する。 (3)dec遺伝子のクロ-ン化:DEC変異株中でpUC-CATのCm耐性を回復するものとしてdec^+遺伝子断片のクロ-ン化に成功し、現在解析中である。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)