高等植物の生殖過程を利用したオルガネラ育種の分子・細胞学的基礎
Project/Area Number |
01660506
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
黒岩 常祥 東京大学, 理学部, 教授 (50033353)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 直樹 東京大学, 理学部, 助手 (40154075)
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Project Period (FY) |
1989
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1989)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1989: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | DAPI / 蛍光顕微鏡 / 胚珠 / 受精 / 花粉 / 母性遺伝 / 両性遺伝 / メタクリ樹脂 |
Research Abstract |
研究計画の順に従って研究を進めた。花粉内の色素体核DNAの観察と定量は、従来用いてきたDNAに特異的に結合する蛍光色素4'-6-diamidino-2-phenylindole(DAPI)による染色と超高分解能蛍光顕微鏡法及びVIMシステムによる蛍光定量を用いて行った。これにより次のような結果が得られた。 1.85種の植物を調べた結果、5科11種において新たに両性遺伝型植物を発見した。 2.これらの植物の精細胞質における色素体核の数及びそのDNAのコピ-数を調べた。その結果、何れの植物も従来観察されたテンジクアオイよりも色素体核の数及びコピ-数の少ないものであった。 3.これまで使用してきたおしつぶし法では、胚珠が破壊されたり周辺組織が折り重なって、卵細胞が観察されなくなってしまい、卵細胞の発達過程や受精過程における色素体核DNAの挙動を解析することができなかった。そこで、切片で解析しなければならなくなった。しかしパラフィン切片では厚過ぎて、色素体核DNAの挙動を調べることが出来なかった。薄い切片で調べるために、従来からあるエポキシ、アラルダイド樹脂など電子顕微鏡用の包理剤で調べたが、切片の樹脂そのものがUVの励起光で蛍光を発して色素体核の観察は困難であった。しかし水溶性のメタクリ系の樹脂で僅かに観察された。この方法を更に改良することによって役に立つ技術となろう。 4.カルシュウム要求性のDNA分解酵素ヌクレア-ゼCの活性を母性遺伝型(イネ、タバコ、ユリなど)と両性遺伝型植物(モンテンジクアオイ、シャコバサボテン)の各発達段階にわたった調べた結果、前者は後者に比べて約10倍高い活性を示した。このことから、母性遺伝の機構として、花粉第一分裂後に起こる色素体核DNAのヌクレア-ゼによる選択的分解が重要と考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)