Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
これまでの分光測定からは、明らかでなかった固体酸素a相の磁気励起モードの磁場依存性を強磁場遠赤外ESR測定によって明らかにした。観測されたESRモードは、典型的な容易面型の二副格子反強磁性体のものであることがわかった。またこれまでのX-band ESR測定では大きな0磁場ギャップのため一部しか観測できていなかった酸素気相のESRスペクトルの全体を高周波強磁場ESR測定によって明らかにし、その結果がTinkhamとStrandbergが提出した酸素分子回転運動をとりいれた理論によってほぼ説明できることを示した。しかし気相で見積もられた磁気異方性の大きさが固体酸素α相でのそれと2倍程度異なっていることが問題として残った。さらに理研播磨研究所量子材料研グループが中心となってSPring8で行われた放射光を用いた固体酸素の強磁湯中でのX線回折実験に参加した。阪大旧天谷グループからダイヤモンドアンビルセルの提供を受け高圧下ESR測定を試みたが、ダイヤモンドアンビルセルの開口部が狭いことやダイヤモンドによって遠赤外光が屈折され光路が曲げられてしまうため、セルを透過する際に遠赤外光が大きく減衰してしまいこれを実現するのは非常に困難であった。レンズや電磁波を集光するためのホーンをセル直前におくなど工夫してこれを解決することを試みたが、残念ながらパルスマグネットと組み合わせた高圧下強磁場ESR測定を可能とするにはいたらなかった。
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