Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
我々は超新星残骸衝撃波面における宇宙線加速の定量的評価を、硬X線観測を用いて世界で初めて遂行した。主な成果は以下のようなものである。1.我々の銀河内にある未知の宇宙線加速超新星残骸候補を複数発見した。見つかった個数と探査の領域の広さから、このような未発見の宇宙線加速超新星残骸は20個以上に登ることを世界で初めて示した。2.宇宙線加速超新星残骸候補の未同定天体いくつかをChandra-Newtonで追観測し、これらが確かに超新星残骸であることを確定した。3.宇宙線加速超新星残骸のプロトタイプであるSN1006を空間分解能に優れたX線天文衛星Chandraで観測し、高エネルギー電子からのシンクロトロン放射が半径の1%以下という極めて薄いfilament状構造に集中していることを発見した。このような薄い幅の粒子分布を説明するためには、磁場が衝撃波法線に垂直で、強い乱流状態になっている必要があることを、世界で初めて示した。衝撃波面での宇宙線加速は、局所的に効率よく行なわれていることを発見した。4.大マゼラン星雲にあるsuper-bubble 30DorCをChandraで観測し、衝撃波部分から非熱的放射を発見した。これは、系外のdiscrete sourceとしては初の宇宙線加速源の発見である。5.歴史的超新星残骸5天体をChandraで観測し、そのすべての衝撃波面に薄くfilament状に分布するシンクロトロン放射を発見した。超新星残骸の加齢に伴うfilamentの進化を調べ、衝撃波のエネルギーと磁場エネルギー、加速粒子のエネルギーがお互い強く相互作用しながら進化することを発見した。6.X線天文衛星ASTRO-E II搭載予定のX線CCD XISの地上較正試験を行ない、検出器系が全て正常に動作していることを確認した。
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