サケ科魚類の母川回帰におけるGnRHとステロイドホルモンの役割の解明
Project/Area Number |
01J10602
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
生物形態・構造
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
北橋 隆史 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2001 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 母川回帰 / サケ科魚類 / GnRH / GTH / 性成熟 / 行動 / mRNA |
Research Abstract |
本研究の目的は,サケ科魚類の母川回帰における生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)とステロイドホルモンの役割を解明することである.そのために,ホルモンによる母川回帰行動発現の制御とGnRH遺伝子発現変動の二つの視点で研究を進めている. 実験には大槌湾口に回帰してきた成熟途上のシロザケを大槌湾口の定置網で2回に分けて捕獲して用いた.捕獲された成熟途上のシロザケ計24尾は東大大槌臨海研究センターに運び,海水水槽で一日間畜養した後に実験水槽に移した.実験水槽は中央を仕切って海水および淡水を約11トン/hrで供給することにより仕切りを挟んだ海水領域・淡水領域を作成し,なおかつ魚が両領域を自由に移動できるよう一方の端に通路を作成した.実験期間中に各個体が海水領域・淡水領域のどちらにいたかは,シロザケの背中に装着したマイクロデータロガーにより水温,電気伝導度の変化を記録してその変動から判別した. 実験開始時から24時間おきに血液を採取して遠心によって得られた血清をステロイドホルモン濃度およびイオン濃度測定用のサンプルとした.実験終了時には脳,下垂体等の組織も採取し,液体窒素などで急速凍結させた後-80℃にて保存した. 前半に行なったオスの実験では,去年に比べ外見上で比較的成熟の進んだ個体しか手に入らなかった.しかし,行動記録の結果では淡水への選択性が去年に比べて高い結果は得られなかった.これまでの実験結果では,ブナ度の進行は必ずしも海水・淡水の選択性とは相関しないが,ホルモン環境的な性成熟は進んでいると考えられる.去年の実験によって得られた,性ステロイドホルモン濃度は性成熟に伴う変化を示す一方で海水・淡水の選択性との相関が見られないという結果を考え合わせると,やはり血中の性ステロイドは海水・淡水選択性に関与していない可能性が高い. 回遊するサケのモデルとして池産サクラマスを用いて行なった実験では,海に降りた個体が母川へと遡上する時期に脳内のsGnRH mRNA量が増加するという結果が得られている.石狩川に回帰するシロザケでは最終性成熟時にsGnRH mRNA量が増加することを考え合わせると,淡水選択性の促進にはsGnRHが関わっている事が期待される.
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)