Project/Area Number |
01J11388
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Inorganic materials/Physical properties
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鳴島 暁 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2001 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | アモルファス / 酸化物 / p型 |
Research Abstract |
アモルファス半導体薄膜は、結晶と比較して低温で大面積な成膜が可能であることや、プラスチック基板上への作製が可能であることなどのプロセス上の有利な点を持つ。しかしながら、a-Si:Hを除くと、伝導性の制御が困難であり、これが大きな障害になっていた。アモルファス酸化物半導体の研究は1954年のDentonらによるV_2O_5系ガラスに端を発し、長い歴史を持つが、その伝導メカニズムはホッピング型であり、低い導電率が実用化へのネックであった。近年、我々の研究グループは独自の材料探索指針に基づき発見したアモルファス(a-)AgSbO_3,a-2CdO・GeO_2,a-CdO-PbO_xおよびa-InGaO_3(ZnO)_m(m【less than or equal】4)などの新しいカテゴリーに属する一連のn型伝導牲透明アモルファス酸化物半導体を報告した。これらのアモルファス酸化物半導体は、縮退型の電気伝導を示し、かつ、その電子移動度が約10cm^2V^<-1>s^<-1>と既存のアモルファス半導体のそれよりも数桁大きいことなどのユニークな電子輸送特性をもつ。 一方、p型伝導性を示すアモルファス酸化物は現在までに知られていない。Siに代表される結品半導体におけるエレクトロニクスの隆盛の大きな要因が、pn接合の形成にあることを鑑みれば、p型伝導性アモルファス酸化物半導体の実現はキーとなる課題である。ヘテロエピタキシャル接合において素子特性を左右する要因として接合界面における格子不整合が挙げられるが、アモルファスを用いたpn接合が実現されれば、この問題に対する異なるアプローチになると考える。また、アモルファス薄膜では原子レベルの平坦面が比較的容易に得られることも、良好な接合形成に有利であろうと推察される。 本研究では、まず我々の研究グループが独自に見出した、新しいn型アモルファス酸化物半導体における特徴的な電子輸送特性の起源を、電子構造の解析を通して明らかにした。また、本研究グループが見出したn型のアモルファスカルコゲナイドを対象にして、非晶質における伝導キャリアの生成を局所構造から明らかにした。そして、以上の研究により得られた知見を基礎として、p型伝導性アモルファス酸化物の実現と、全アモルファス酸化物から構成される、良好な特性を示すpn接合ダイオードの作製に成功した。 独自の材料設計指針により、初めてのp型伝導性アモルファス酸化物であるアモルファスZnO・Rh_2O_3の作製に成功した。本物質は、アモルファスでありながら、局所的にRhO_6の稜共有構造をもつ、d-t_<2g>伝導体である。スパッタ法により作製した、アモルファスZnO・Rh_2O_3薄膜の導電率は2Scm^<-1>、バンドギャップは2.1eVであった。さらに、p型アモルファスZnO・Rh_2O_3とn型アモルファスInGaZnO_4を用いた全アモルファス酸化物pn接合ダイオードの室温下での作製に成功し、約10^3という良好な整流比を得た。
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