Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SCHMID A. Freie Universitat Berlin, Research Assistant, 固体物理研究所, 助手
HANS P. Freie Universitat Berlin, Research Assistant, 固体物理研究所, 助手
SHNEIDER C. M. Freie Universitat Berlin, Associated Professor, 固体物理研究所, 助教授
KIRSCHNER J. Freie Universitat Berlin, Professor, 固体物理研究所, 教授
大島 忠平 早稻田大学, 理工学部, 教授 (10212333)
大槻 義彦 早稻田大学, 理工学部, 教授 (50063649)
OHTSUKI Y. Waseda University, Professor
OSHIMA C. Waseda University, Professor
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Research Abstract |
表面や界面の結晶構造(欠陷を含む)や電子状態を高分解能で画像にすることが本研究の目的である。このために,高分解能の表面顕微鏡はどのような型式が最適であり,しかも高分解能化が可能であるかが検討された。この他に現在,日本とドイツの両研究室で共通の問題であるエピタキシャル成長の問題の解明のために共同研究が行われた。本年度の研究で次の様な実績をあげることができた。 I.表面電子顕微鏡の最適設計と製作 表面電子顕微鏡はどのような表面状態分析を行うかによって種々の型式が考えられる。大別して(1)レンズ結像型と(2)走査型とがある。 (1)レンズ結像型 レンズ結像型の表面顕微鏡は低エネルギ-反射顕微鏡が最も有効な表面顕微鏡になることが我々の間で確認され,これにいかに高分解能のエネルギ-フィルタ-を組合せるかの討論が行れた。今後の表面分析に最も重要なことは分子スペクトルに関する情報を表面電子顕微鏡に付加することである。そのために,入射電子を数eVに減速し,数mVのエネルギ-分解能をもつエネルギ-フィルタ-で結像できる電子光学系が検討された。エネルギ-フィルタ-にはウィ-ンフィルタ-を利用するのが最適であり,その電子光学系に関する基本設計が行われた。さらに表面状態のミクロ解析には2次電子効率の変化を利用するのが有効であることが討論され,表面状態と2次電子スペクトルとの関係を定量的に測定する計画が提案され承認された。 (2)走査型電子顕微鏡 早大で開発された走査型LEED顕微鏡,走査型オ-ジェ電子顕微鏡,走査型エネルギ-損失電子顕微鏡の一体化した装置に走査型仕事関数測定電子顕微鏡の機能を付加し,さらに高分解能化を進めるために超高眞空走査型トンネル顕微鏡を有機的に組合せる必要があることが確認された。両者の機能を最大に発揮し,しかも夫々の欠点を補うような設計配置はどのようにしたらよいかが討論され,基本設計を終了し,製作を行った。その結果超高眞空でSEM及びSTMとして最高の機能を発揮し,両者は5万倍で同一視野を観測することができた。これは將来,高分解能表面顕微鏡の進むべき基本的な針路を与えることになり有効な共同研究であった。 II.エピタキシャル成長膜の解析 (1)遷移金属炭化物表面上の単原子層グラファイトの電子構造 Tic(111),Tac(111),Hfc(111)の清浄表面にエピタキシャル成長した単原子層グラファイトの表面構造はLEED及びSTMでしらべられた。STM像は単原子層グラファイトの電子構造をよく反映し,下地遷移金属と強く化学結合した炭素原子は極めて明るく観測された。これは,下地金属との間の化学結合により電荷移動が起つていることを証明するもので,このような下地との強い化学結合がグラファイトの基本構造を超周期で変調していることを確認した。(Dr.A.Schmidとの共同研究:Surface Scienceにin press)。 (2)Si(100)清浄表面上に成長した金属シリサイドの島は下地Siに電流を流すと,移動することをUHVーSEMで発見した。この島の移動はシリサイドの種類によって方向を異にする。Au,Niシリサイドでは電流と逆方向に,Alでは電流方向に移動する。また島の径が大きい程移動速度は大きく,温度が高い程移動速度は大きい。この原因については,ベルリン自由大学の研究者達と討論した。結論的には半導体と金属との界面にできるSchottky Barrierで発生する電荷が原因であり,下地にかかる電場と電荷との相互作用が,エレクトロマイグレ-ションの牽引力になっていると考えた。(Prof.Kirschnerと討論:Phuys,Rev.Lett、に投稿) (3)Si(100)ーPtーC(6×4)のSTMによる構造解析 Si(100)ーPtーC(6×4)構造は我々の研究室でLEEDの実験から発見された構造である。この構造をUHVーSTMで観測するとPtの一原子層膜はC(6×4)構造に対応し,下地のSi(100)2×1のダイマ-構造と密接に関連した構造である。また原子層ステップはC(6×4)構造にも影響し,ダブルドメインをつくる原因になっていることを確認した。(Surface Science に投稿予定)
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