肝炎・肝癌自然発症動物(LEC)を用いた肝癌の発生と進展に関する分子病理学的研究
Project/Area Number |
02151001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Cancer Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
武市 紀年 北海道大学, 医学部, 助教授 (40002133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 美奈子 国立がんセンター研究所, 部長 (40100151)
谷口 直之 大阪大学, 医学部, 教授 (90002188)
松本 耕三 徳島大学, 医学部, 助教授 (00002246)
森 道夫 札幌医科大学, 教授 (00045288)
吉田 廸弘 北海道大学, 理学部, 教授 (60001765)
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Project Period (FY) |
1990
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
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Budget Amount *help |
¥14,000,000 (Direct Cost: ¥14,000,000)
Fiscal Year 1990: ¥14,000,000 (Direct Cost: ¥14,000,000)
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Keywords | 肝炎 / 肝癌 / 動物モデル / LECラット / 銅代謝異常 / 常染色体劣性遺伝 / メタロチオネイン |
Research Abstract |
非近交系LongーEvansラットから分離された近交系LECラットは約4カ月齢でその40%以上が急性肝炎を発症し、そのうち約半数は死亡する。生存例は慢性肝炎を経てほぼ全例肝癌を発生することなどから、ヒト肝炎、肝癌の新しいモデル動物として注目されている。 LECラットの急性肝炎は常染色体劣性遺伝形式で起こり、何らかの代謝異常による可能性が考えられていた。最近、当研究グル-プによりLECラットの肝臓中に銅の異常蓄積が起こっており、血清中ではceruloplasminおよび銅の低下のあることが明らかにされた。LECラットの肝組織には生後2日齢より銅が蓄積し始め、肝炎発症前の3カ月齢に肝細胞毒性を示すレベルに達していることから、LECラットに銅の先天性代謝異常が存在し、それによって肝へ銅が異常蓄積し、肝細胞障害の発症原因になっているものと考えられる。 さらに、急性肝炎から生き残ったLECラットは胆管線維症を経てほぼ100%肝細胞癌を発生する。この事実は、LECラットにおける肝癌の発生にも銅代謝異常が何らかの形で関与している可能性を示唆している。銅は亜鉛とともに生体にとり必須元素の一つであり、血中で蛋白と結合してメタロチオネインの形で存在し、種々の酵素を活性化することにより、細胞の増殖や代謝に関与している。しかし、銅は肝発癌に対してはむしろ抑制的に働くとの報告もあり、メタロチオネインの生体における役割については不明の点が多い。 ヒトにおける先天性銅代謝異常疾患としてWilson病がよく知られている。Wilson病は常染色体劣性遺伝で起こり、大部分の患者は急性肝炎、肝硬変にて死亡し、長期生存の患者では肝癌の発生が報告されている。今後、LECラットはWilson病の発生機序解析および銅と発癌との関連の研究に極めて有用なモデル動物と言える。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)