Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 忠仁 国立予防衛生研究所, 腸内ウイルス部, 主任研究官 (60134615)
土田 信夫 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (60089951)
山口 宣生 東京大学, 医科学研究所, 教授 (90012723)
田矢 洋一 国立がんセンター研究所, 生物学部, 主任研究官 (60133641)
秋山 徹 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (70150745)
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Budget Amount *help |
¥14,600,000 (Direct Cost: ¥14,600,000)
Fiscal Year 1990: ¥14,600,000 (Direct Cost: ¥14,600,000)
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Research Abstract |
細胞性がん抑制遺伝子RBやp53の遺伝子産物とDNA型がんウイルスのがん遺伝子産物とが蛋白・蛋白複合体を形成することが見出され,このことが細胞のがん化に重要な役割を果していることが変異導入実験などを用いて明らかになりつつある。本研究では,前述の複合体形成の確認と複合体形成に必須な構造の解析,がん遺伝子産物と結合する未知細胞性蛋白の解析,がん抑制遺伝子の正常細胞における機能,複合体形成による機能変化を探るものである。初年度である平成二年度は遺伝子産物の量産,抗体の作成など実験材料の確保や実験系の確立など実験環境の整備に重点をおいた。主な結果を次に述べる。 1.従来困難であったRBやパピロ-マウイルスE7遺伝子産物の量産が,それぞれ,バキュロウイルスベクタ-系およびEーcoli系を用いて可能となり,蛋白の精製,抗体の作成が進行中である。 2.RBは,細胞周期によりその燐酸化レベルが変化することが知られているが,HL60細胞の分化に伴いRB燐酸化レベルが低下することが判明した。これはphosphataseの活性化ではなく,kinase反応の低下と考えられる。 3.RBの燐酸化はcdcー2キナ-ゼ,MAPキナ-ゼでおこる。細胞内における燐酸化も両者が主役と考えられるが,免疫共沈法を用いて検討中である。 4.パピロ-マウイルス(HPV)E7遺伝子産物はRBとE6遺伝子産物はp53と複合体を形成する。HPV16型とHPV526型について,複合体形成とトランスフォ-ム活性との関連検討が型間の比較,変異導入実験によって開始された。 5.口腔扁平上皮がん細胞株18株すべてにp53遺伝子の構造異常かあるいはp53の発現異常が認められた。これらの変異がDNA型がんウイルスがん遺伝子産物との複合体形成能やトランスフォ-能とどのように関連しているのかは今後の問題である。
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