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¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
Fiscal Year 1990: ¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
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Research Abstract |
癌遺伝子産物の多くが蛋白リン酸化を介する機能蛋白であることやプロテインホスファタ-ゼの阻害剤オカダ酸に発癌プロモ-タ-作用があることが見いだされ,プロテインホスファタ-ゼの発癌過程での意義が注目されている.そこでわれわれは発癌過程における本酵素の遺伝子発現について検討した.すでにわれわれはラットライブラリ-より本酵素の2分子種PP2AとPP2Cの分子クロ-ニングを終えているので,本研究ではまず,ラットPP1の分子クロ-ニングを行い,次いでこれらをプロ-ブとして用いて遺伝子発現を解析した.まず得られたcDNAは全長1415bpで,その全塩基配列の決定を完了した.塩基配列を見ると,5'および3'側にそれぞれ68および360bpの非翻訳領域があり,翻訳領域は990bpで330アミノ酸残基からなる蛋白をコ-ドし,これから算出される分子量はSDSーPAGEから得られる値37KDaと一致した.これをすでに報告されているウサギPP1αの結果と比較すると,塩基配列で全体で85%,翻訳領域で88%の相同性が示された.ところがアミノ酸配列でみると両者は完全に一致していることがわかった.したがって本酵素分子種PP1αのアミノ酸配列は種を越えて保存されていることが結論された.次にこのようにして得られたcDNAをプロ-ブにして,正常肝および腹水肝癌AH13でノザンブロットにより遺伝子発現を調べた.AH13では,PP1αのmRNAレベルは正常肝の約13倍の発現上昇が認められた.ところが再生肝についてみると,術後明らかな上昇は認められるが,上昇レベルは正常の2倍弱であった.次にSoltーFarberの発癌系では,DEN投与後PP1αmRNAの上昇が認められ,過形成結節がみられる5週目にピ-クに達した.PP2AとPP2Cについても類似の上昇が観察されたが,反応性には差異が認められた.
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