Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1990: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Research Abstract |
Rasタンパク質のエフェクタ-部位(32ー40番目,タ-ゲットと相互作用する部位と考えられている)のN末端側およびC末端側の十数アミノ酸残基について部位特異的変異を行い,30種類の変異<ras>___ー遺伝子を作成した.変異<ras>___ー遺伝子をPC12細胞で発現させて形態変化促進活性を調べるとともに,精製した変異Rasタンパク質についてGAPタンパク質によるGTPase活性上昇の程度を調べた.これにより,エフェクタ-部位のN末端側には,GAPタンパク質によるGTPase活性の上昇に関与する残基が,C末端側には,シグナル伝達に必須な残基が存在することが明らかになった.これらの変異Rasタンパク質のうちで,30ー31番目の残基をK<rev>___ーー1タンパク質のものに置換した変異体は,PC12細胞において,発癌性Rasタンパク質の活性を抑制した.この変異体は,Rasタンパク質のタ-ゲットと競合的に結合すると考えられ,今後の解析に有用である. 他方,最新のNMRの手法を駆使して,Rasタンパク質の水容液(生理的条件)における高次構造を解析し,X線結晶解析では得られなかった重要な知見が得られた.まず,ランダムな窒素15標識,アミノ酸残基に選択的な窒素15標識およびランダムな炭素13・窒素15二重標識したRasタンパク質を調製し,2次元および3次元NMRの測定を行なった.その結果,GDP結合型Rasタンパク質のほぼ全部のアミノ酸残基についてシグナルを帰属することに成功した.これに基づいて核オ-バ-ハウザ-効果を定量的に解析し,水容液におけるGDP結合型Rasタンパク質の高次構造モデルを作成し,GTP結合型との差異を調べた.特にGTP結合型で,X線解析による結晶化Rasタンパク質の構造との差異が顕著であった.これにより,Rasタンパク質の機能発現(タ-ゲットとの相互作用)に直結する重要な高次構造が明らかになった.
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