Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
Fiscal Year 1990: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
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Research Abstract |
MAPキナ-ゼは,我々が,種々の増殖因子の刺激で共通に活性化するセリン/スレナニン残基特異的蛋白質キナ-ゼとして見い出したものである。本年度において,我々は,MAPキナ-ゼが蛋白質脱リン酸化酵素1と2Aの特異的阻害剤であり発癌プロモ-タ-でもあるオカダ酸で細胞を処理することによっても活性化することを見い出した。また,PC12細胞において,分化因子である神経成長因子(NGF)の刺激によっても,MAPキナ-ゼが活性化することを明らかにした。 さらに,アフリカツメガエル(Xenopus)卵を用いた実験から,MAPキナ-ゼが細胞分裂期(M期)に活性化するという重大な知見を得た。このM期に活性化するMAPキナ-ゼをXenopus成熟卵から,5段階のカラムクロマトグラフィ-によって,単一バンド(分子量42K)まで精製した。このM期MAPキナ-ゼがチロシン並びにセリン残基がリン酸化されていることを示した。精製酵素の部分アミノ酸配列をもとにして,Xenopus MAPキナ-ゼのcDNAクロ-ニングにも成功し,MAPキナ-ゼの全アミノ酸配列を世界に先駆けて明らかにした。 細胞内微小管構築は,M期に入ると,間期型微小管ネットワ-クからM期型(紡錘体)へと大きな変換をする。この変換をin vitroで再構成する系が,Karsentiのグル-プにより確立された。我々は,この系を用いることで,M期に活性化するMAPキナ-ゼが,微小管の間期→M期変換に重要な役割を果たしていることを明らかにした。 以上の結果は,様々なシグナル伝達系におけるMAPキナ-ゼの重要性とともに,細胞周期制御因子としてもMAPキナ-ゼが不可欠な機能を担っていることを明らかにしたものである。
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