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¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 1990: ¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
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Research Abstract |
低酸素性細胞放射線増感剤に新しい生物学的応答修飾能を導入して、bifunctional放射線増感剤または生物学的応答修飾剤(BRM)を開発することを計画した。その結果、新たにヒドロキサム酸類KINー804,831,841,844、タウリン誘導体KINー861,862及びアミド誘導体KINー8060,8080,8090,8510,8380を設計し効率的合成法を確立した。これらの化合物についてEMT6/KU細胞を用いてin vitro放射線増感活性試験を行ったところ、各々の放射線増感効果比(ER)はいずれも1mMの濃度で2.00(KINー804),1.75(KINー831),1.68(KINー841),1.69(KINー844),1.89(KINー8060),1.96(KINー8080),1.98(KINー8090),0.97(KINー8510),1.84(KINー838),1.22(KINー861),1.61(KINー862)であった。MISOのER、1.72に比べて、かなり高い増感効果を有するものがあることが判明した。このうち、ヒドロキサム酸誘導体KINー831及び804についてddyあるいはC3/HeJマウスを用いた毒性試験を実施したところ、両者ともLD_<50>はKIHー802の約2倍、MISOの1.5倍であることがわかった。さらにこれらは分配係数が低いことから、脳への移行率も小さいと予想され、新しい低酸素性細胞放射線増感剤として有望であると考えられる。NMF等の極性分化誘導剤の中に放射線修飾作用を有するものがあることに着目して、極性化合物と親電子性放射線増感剤の構造上の特徴を生かしてbifunnctionalなBRMの分子設計を行った。この結果得られれたKINー8060,8080,8090,8380に関して、神経芽細胞Cー1300の神経突起の形成を指標とした分化誘導能の検索を行ったところ、いずれの化合物にも著明な神経突起の形成が認められた。一方イミダゾ-ル誘導体KINー5080には突起の形成も放射線増感作用も見られなかったことから、分化誘導においても放射線増感作用と同様に、ニトロ基の存在が重要であることが示唆された。さらにKINー8060は転移抑制効果を有することが明らかになり、この点からも有用性が期待される。
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