Project/Area Number |
02152122
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Research Category |
Grant-in-Aid for Cancer Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
矢守 隆夫 癌研究会, 癌化学療法センター, 研究員 (60200854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鶴尾 隆 東京大学, 応用微生物研究所, 教授 (00012667)
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Project Period (FY) |
1990
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
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Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 1990: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Keywords | 癌転移 / 増殖因子 / IGFーI / インスリン様増殖因子I / シグナル伝達 / 高転移性細胞 / チロシンリン酸化 / チロシンキナ-ゼ |
Research Abstract |
マウス結腸癌colon26由来の高転移性NLー17細胞の増殖は、インスリン様増殖因子I(IGFーI)により顕著に促進される。本研究では、IGFーIのNLー17細胞への作用機作を解析した。対照として、低転移性でかつIGFーIに対する反応性の弱いNLー44細胞を用いた。 ^<125>I標識IGFーIを用いた結合実験およびIGFーIレセプタ-のアフィニティ標識の結果IGFーIレセプタ-の発現量とそのIGFーIへのアフィニティは、NLー17とNLー44細胞で差は認められなかった。また、IGFーIレセプタ-の自己リン酸化能も両者で差は見られなかった。抗リン酸化チロシン抗体により、IGFーI依存性にチロシンリン酸化される蛋白を解析した結果、NLー17細胞では150kDaおよび160kDa(pp150/160)の蛋白に顕著なリン酸化が認められ、このリン酸化の程度は、NLー44細胞に比べ有意に高いことが判明した。この反応はIGFーIの特異的で、IGFーI添加後10秒以内におこる。pp150/160は細胞の可溶性画分に存在し、Ca^+はその局在性に影響しなかった。これらの精製のためにモノクロ-ナル抗リン酸チロシン抗体25・2G2産生ハイブリド-マを樹立、この抗体でアフィニティカラムを作製した。このカラムにより、pp150/160は効率よく濃縮、精製された。微量混入蛋白を除くため、さらに精製中である。 以上、高転移性NLー17細胞におけるIGFーIのシグナル伝達の解析から、IGFーIによる2つのユニ-クな蛋白(pp150/160)のチロシンリン酸化が明らかとなった。これらの蛋白は、NLー17細胞におけるIGFーIレセプタ-キナ-ゼの細胞内基質であり、IGFーIシグナルの伝達に関与すると考えられた。NLー17とNLー44細胞との比較から、両者のIGFーIへの反応性の違いは、IGFーレセプタ-の発現量あるいはそのチロシンキナ-ゼ活性ではなく、pp150/160のリン酸化レベルの差によるものと推察された。また、アフィニティカラムによりpp150/160の部分精製に成功した。
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