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¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 1990: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Research Abstract |
1.利用しにくい80℃程度の排熱から2ープロパノ-ル液相脱水素の反応熱と蒸発熱を吸い上げ,生成するアセトンと水素の反応熱を200℃程度に昇温するケミカルヒ-トポンプの開発を研究目的としている。 2.この熱機関は優れた触媒があってはじめて成立する。特に,低温吸熱過程を受けもつ2ープロパノ-ル液相脱水素触媒は,高い活性・選択性と,低い生成アセトン阻害能をあわせてもつことが要求される。炭素担持ルテニウム触媒の高い脱水素活性と,炭素担持白金触媒の低いアセトン阻害能を複合させるため高表面積活性炭(KOH賦活)を用い,金属塩水溶液の水素化ホウ素化ナトリウム還元によって2nm以下の微粒金属種を調製したところ,期待した通り,現在までに最も高活性の炭素担持ルテニウム触媒を大きくうわまる活性が得られ,透過型電子顕微鏡とX線回析解析から,ほぼ均一な粒径および空間分布と,金属としての格子形成のあることが確かめられた。 3.担持貴金属触媒による2ープロパネ-ル脱水素反応の作用機構を明らかにするため,メチン基あるいは水酸基だけを重水素置換した2ープロパノ-ルを用い,反応速度同位体効果および生成水素と液相成分の重水素分布について解析した。炭素担持白金触媒はメチン基水素に関する同位体効果が大きく,またその値から,脱水素反応の律速段階はメチン基水素開裂過程であると結論された。メチン基重水素置換体から得られる水素は,驚くべきことにほとんど全てがH_2であり,D_2はなく,少量のHDを含むのみであった。2ープロパノ-ルは白金触媒上,水酸基で解離吸着し,表面水素種が充分多量に存在するうえ容易に表面移動し,水素分子となって脱離すると推論された。炭素担持ルテニウム触媒は水素分子の形成脱離過程が律速的と結論され,メチン基CーH結合開裂は容易であった。複合効果は容易に進む2過程の組合から可能になるのである。
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