Research Abstract |
本研究の目的は,2接合タンデム形太陽電池材料として禁止帯幅(Eg)の最適組合せである,Eg=1.9eVのInNとEg=1.1eVのSiを選び,Si基板上へのInNのヘテロエピタキシャル成長を基本とした,InN/Siモノリシッタンデム太陽電池を作製し,30%以上の変換効率を実現することにある。 本年度は研究の初年度であることから,研究の基礎となる下記の2項目の検討を進めた。 <1.InN/Siモノリシックタンデム太陽電池の理論変換効率>___ー:作製が比較的容易であることから当面の作製対象と考えられる3端子構造タンデム太陽電池を取り上げ,少数キャリア拡散長,表面(界面)再結合速度,接合深さなどの詳細パラメ-タを考慮した変換効率の理論計算を行い,30%以上の変換効率の達成が可能であることを明らかにするとともに,そのための,これらのパラメ-タへの要求値を明確にした。 <2.Si基板上へのInNの有機金属気相成長(OMVPE)>___ー:InN/Siモノリシックタンデム太陽電池作製の基本となるSi(111)基板上へのInN(002)膜のヘテロエピタキシャル成長を,有機金属気相成長(OMVPE)法を用いて検討した。成長時の窒素N不足軽減の観点から,成長温度とアンモニア(NH_3)/In原料モル比をパラメ-タとして,In原料の種類(TEIおよびTMI),成長ガス圧,キャリアガスの種類(H_2およびN_2),ならびに,NH_3分解炉の効果を検討した。その結果,N_2キャリアガスを用いた減圧(〜0.1気圧)成長において,NH_3分解炉の使用により,成長膜への単体Inの混入抑制はもちろん,表面モフォロジの良好なInN(002)配向膜を得ることができた。さらに,二段階成長法(400および500℃成長)法の採用により,配向性に優れた鏡面膜を得ることができ,ヘテロエピタキシャル成長の可能性が大きいことを明らかにした。
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