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¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
本研究では,強相関電子を含む系の物性発現の機構を明らかにするため,銅酸化物系に対しては,クラスタ-を数値的に厳密に扱う手法,及び重い電子系に対しては,有効媒質理論を発展させ,主に動力学的な性質を研究した。その際パソコンを大型計算機の端末として,また計算機本体として補助的な計算の遂行に活用した。更に出張により他大学の研究者と有意義な情報交換を行うことができた。以下に具体的な成果を報告する。 1.4スピン相互作用を含む有効モデルの導出。銅と酸素から構成されるCuー02次元面は,高温超伝導の発現に本質的な役割を演ずると考えられている。本研究では,Cuと0の共有結合に関与する電子のみを含む,いわゆるpーd混成モデルから出発し,低エネルギ-の励起を更に少ない自由度で記述するための有効モデルを厳密対角化の手法によって求めた。その結果4個の隣接するスピンが巡回的に交換をする相互作用が,最近接交換相互作用の約30%という非常に大きな値をとることを明らかにした。 2.スピン相関関数及びラマン散乱スペクトルの計算。有効モデルを4×4の正方格子上で厳密に解き,ラマン散乱スペクトルを計算し,4スピン相互作用が実験結果の理解に重要であることを指摘した。 3.遍歴・局在双対性の描像。強相関電子系を直感的に理解するための描像として,遍歴・局在双対性という概念を定式化した。この概念に基づいて,重い電子の示す特徴的な弱い反強磁性やメタ磁性を説明するための量子力学的現象論を展開した。また,1個のサイトを自己無撞着に決定される動的な有効媒質中におき,巨視系の励起スペクトルを求めた。
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