電荷をもった有機高スピン分子の生成とその電磁物性の基礎的研究
Project/Area Number |
02205070
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
志田 忠正 京都大学, 理学部, 教授 (60025484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
百瀬 孝昌 京都大学, 理学部, 助手 (10200354)
加藤 立久 京都大学, 理学部, 助手 (80175702)
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Project Period (FY) |
1990 – 1992
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 1990: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Keywords | 有機高スピンイオン / ラジカルイオン / メタフエニレンビスフエニルメチレン / スピン配列 / ゼロ磁場分裂定数 / 強磁性体 / スピン多重度 / UHF理論 |
Research Abstract |
大阪市立大学伊藤教授らが推進してきた芳香族ポリカルベンによる高スピン有機磁性体に関する研究は有機強磁性体開発の基礎研究として意義が大きい。本研究は伊藤らの研究に関連してより基礎的な命題である電子とスピン配列の相関を解明しようと企画したものである。具体的には伊藤らの系が中性ポリカルベンであってそのスピン多重度は5,7,9,11…であるのに対し,これらの系に電子を1個附与したり,とり除いた場合に電荷がスピン配列にどのような影響を与えるかを実験的に調べた。この問題は強磁性体に電荷をド-プした場合のスピン配列を予測する上で基礎的な課題である。研究の結果,プロトタイプとしてのメタフェニレンビスフェニルメチレンの陰イオンについてその基底電子状態のスピン多重度が4であることを確認することができた。この結果はUHF理論に基く北大山口教授らの理論的予測と相反するものであって,多スピン系の電子状態の理論的解析には未だ多くの問題が解決されねばならないことを示している。 極低温での実験技術の改良の結果,上の四重項陰イオンの微細構造テンソルの主軸の一つに対応する高・低両磁場での正準線の強度比を正確に測定することにより,ゼロ磁場分裂定数Dの絶対値と符号を一義的に決めることができた。同様の実験を正イオンについても行った結果,正イオンでは2つの異なるコンフオ-マ-があることが分った。正・負両イオンとも電子が出入りする軌道が分子面に垂直なパイ軌道か分子面内のシグマ軌道かを知ることは電子状態解明の第一歩と位置づけられる作業であるので,現在この問題を実験的に解明する目的で ^<13>C同位体を用いた研究を計画しており、合成実験を含めて実験の準備を開始した。この実験が成果を上げられれば上記の問題は一義的に解訳できるものと期待している。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)